(2)ベースキャンプ

◇◇◇ベースキャンプ◇◇◇



パチもんとはいえダンジョン、それも雪山1つをまるっとダンジョンに据えたここには日夜多くの魔法学園の生徒が来ては冒険者の真似事をしている。


ここのモンスターにやられるとベースキャンプと呼ばれるテントが幾つも並ぶ拠点に強制転移させられると言うなんかのゲームで見た仕様がリアルに実装されているらしい。


そんな場所まで雪山ダンジョンには作られているのだ、ここの魔法学園都市って生徒にスパルタなのか過保護なのかよう分からんね。


まあ生徒に死なれたりしたらシャレにもならないと言うのはその通りだと思うし、実戦経験も安全も両方取れるならそれにこした事はない。


私とベーネちゃんはそんなベースキャンプに転移して、並ぶテントの中から一際大きなテントに入る。


ここは要は冒険者ギルド的な施設のテントである、倒したモンスターの魔力結晶を持っていくと換金してくれる、そして学校らしくモンスターを倒した生徒は評価にも影響するとか。


実に実力主義なことである、まあそれでも金がないベーネちゃんみたいな生徒はお金に困ってしまう事もあるのでそこら辺どうにかしてあげろよっと思わなくもない。


実際に冒険者してる中年としては金をケチって事前のクエスト準備を怠ると基本的に死ぬ事になりかねない、私はチート魔法があるから平気なだけだもんこの雪山の寒さとか普通に死ねるからね。


ベースキャンプで雪山ダンジョンに挑もうとする学生面々はみんなモッコモコの対防寒装備である。


そんな彼ら彼女らからは訝しげな視線を向けられる中年だ、きっとこの平たい顔が珍しいんだろうさ。

未だに同じ様な顔をした人類とは邂逅出来ていないからな。


やっぱファンタジーに塩顔とか醤油顔とか平たい顔族とかって基本的に異物なんだろうな、外見も能力も優れてない島国男子が異世界に行くだけでモテモテになるのは流石にフィクションが過ぎるって事か。


異世界はあるんだからモテモテの方もリアル化して欲しいよ本当。


「あの~~アオノさん?さっきから黙りこくってどうかしたんですか?」

「……いえっ何でもありませんよ」


ファンタジーな世界にいるとさ、モテたいって欲が溢れてくるよな。まあそんなのモテないヤツだけかも知れないが。


冒険者ギルド的なテントに入る。

中にいるのはゴツい装備のマッチョ冒険者……ではなくモッコモコの服にマフラー装備の学生さんだ。


女子も流石にスカートではなくズボ………ウソだろ!?スカートにニーソみたいな女子いたぞ!。


寒さを感じる神経がイカレるとしか思えませんな、ある意味冒険者だよ。


とっとりあえずジロジロ見てたら睨まれたので受付カウンターに向かう、よくそんなカウンター持ってきたな、魔法かね?。


「すみません、魔力結晶の換金お願いします」

「はいっアオノさんとベーネさんですね、では魔力結晶をカウンターの上にお願いします」


何度か換金にも来たので受付譲さんとは顔見知りだ、彼女の名前はカトリーヌちゃんである。歳は二十代前半くらいの美人だ。


緑色の髪を肩くらいで切り揃えた知的な感じがする眼鏡女子だ、ベーネちゃんと違ってシャープな感じの眼鏡を装備している。


衣服はモッコモコの防寒装備である、しかしその上からでも分かるくらいに胸が……眼福、眼福である。


「今日の成果はどれ程ですか?」

「ホワイトウルフを幾らかと、他には大雪猿やガームスカですね」


「………ほうほうっどれもベーネさんに合わせたレベルのモンスターですね」


「はっはい!アオノさんにもサポートされまくりですが、なんとか私も戦闘に参加出来る相手をアオノさんが選んでくれて………!」


ベーネちゃんがカトリーヌちゃんにオロオロと話をしている、何気に1番頑張ったのは君だからもっと胸を張っていいと思うよ?せっかく立派な胸を持っているのだから。


そして換金の手続きも慣れたもの、待つ間は適当なやり取りをしたり女子トークを傍で聞いたりしていた。換金が終わりお金を貰ったのでベースキャンプ内にある食べ物を出す店に向かった。


店長も店員も魔法学園都市の住人で経営しているらしいテントの店だ。ビアガーデンに近いスタイルだ、風よけの壁は設置済みだ。


寒いので暖かい物を注文した、温野菜のスープと肉料理である、ガームスカと言うウシに似た大きな草食動物のステーキが美味しいらしい。


そこで食事をしているとベーネちゃんから話をされた。


「アッアオノさんのお陰で本当に冬休みの間にそれなりに貯金が出来ました、お陰で今年は授業に集中出来そうです。ありがとうございます」


「ベーネさんは学生ですし、勉学に力を入れられるのは結構な事だと思いますから私も良かったです」


ってかこの学園都市って下手すると大怪我しそうな授業が多いんだよ。バイトが忙しくて授業を受けなくて実戦で怪我とか笑えないじゃん。


「そっそれでですね、残りの冬休みについてなんですが………」

「はい、今後の行動についてですね?」


確かにその手の話は早めにするべきだよな。一応冬休みだし、ベーネちゃんも長期休暇を満喫したいお年頃的な?。







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