(3)授業を観察

そしていつものメンバープラス、ベーネちゃんとでテーブルを囲んでの朝食を食べる。

今日は日本食を再現した感じだ、味噌汁と白ご飯、それに焼き魚にたくあんだ。

「それじゃあアオノさん、本日の授業についてですが……」

「はい、そうですか…」


イオちゃんも普通にいる、ここでエーグルの事をバラしても良いのだが流石に食事の空気が悪くなるのはよろしくない。


そして今はイオちゃんに今日の学園見学のスケジュールを聞いている。未だに生徒ととしてカウントはされていない中年、しかし青春の気配を日々感じる事に何となく嬉しさを感じる事も事実。


この学園見学の日々もなんか悪くないなとか思う、この学園もやたらと広いのでどこにどんな教室があるのかとかを説明してくれるイオちゃんと共に移動するので他の教師や生徒から妙なちょっかいもないしな。


ベーネちゃんから渡された箱については後ほどで良いだろう何より今はイオちゃんとの疑似デートが大切だ……。


「もぐもぐっこの焼き魚、美味しいですね!」

「………………ベーネさん、後で少しいいですか?」

「はい?分かりました」

一応ベーネちゃんからはもう少し詳しくあの箱の話を聞きたい。


「………ご主人様」

「何か?リエリ」

「……いえっすみません、何もありません」

「?」


まぁないのならそれでも良いけど、リエリにしては珍しい反応をされた。

そして他の皆はいつも通りに完食をしてごちそうさまをする。


今日のご飯も美味しかった。


その後は魔法部屋の私室で着替える為に1人になる、流石にメイド姿とは言えユーリやベーネちゃんに手伝わせ………たいけどそれをしたら中年の立場がアレになるので我慢するのだ。


「………一応、アレを使っておくか」

ただの予感でしかないのだが、今日はイオちゃんとベーネちゃん、その両方と共にいたい。

まさかとは思うけどあのエーグルってイケメンが何か仕掛けてくる可能性があるかもって話だ。


私はある魔法を発動した。



◇◇◇学園・第13魔法実験場◇◇◇



「こちらの魔法実験場は以前アオノさんが試験を受けた場所と同じ仕組みで様々な条件下を空間魔法で再現してる広大な教室ですね」

「確かに、コロシアムの所もそうでしたが青空が見えますもんね」


「フフッまあアレも魔法で創った偽物の空なんですけどね、魔法実験場の中には夜を想定した教室もありますよ?」

「それは凄いですね」


本当にこの学園都市の魔法のレベル高くない?まさに魔法使いの為の学園だって感じ。

私の目の前にはどこまでも広がる広大な草原だけがあった。


そしてそこにポツンと十数人の同じ様な学生服を着ている生徒達と1人の教師らしき男がいた。

「今はダホル先生が生徒達と魔法の実践をしていますね、今日は私以外の教師の授業を見ていただければと思って」


「分かりました」

確かに学園の授業はいつもイオちゃんの授業しか見学してこなかった、もしも本当に生徒となるならそれじゃあなって事になったんだろう。


未だに私がこの学園都市でどんな扱いになっているのかを当の私が知らないんだよな。


「それでは行きましょうか」

「はい」

私達は飛行魔法で離れた一団に向けて飛んでいった。



「っであるからして、魔力を完璧にコントロールすればこの様な真似も出来るのだ」

「「「おおっ!」」」

見れば水を操作している最中のようだ、細かい水の動きを制御して形づくるのは水のペガサスである。


それが生きてるかの様に翼を広げて空に向かって飛んでいく。大した水魔法である。

「流石ダホル先生、この学園都市でも有数の水魔法使いだな!」

「まるで芸術作品見たいね!」

「カッコいい……」


確かに動く芸術って感じは分かるわ、それとカッコいい発言した女子は魔法よりもダホル先生という茶髪のイケメンの方を見ての発言だよね?。

イケメンへの嫉妬を滾られせがら彼らと合流した。


「………来ましたか、イオリア先生」

「こんにちはダホル先生、今日はよろしくお願いします」

「…君がアオノか、あのイオリア先生が一目置く程の魔法使いだとか。是非とも私にも魔法のご教授を願いたいね」


「いえいえっ私なんて……」

ご教授願いたいって言葉の割に結構上からくるダホル、歳は二十代後半くらいか?背丈も190くらいはあるな、デカい。


そして周りの生徒さん達を見る、彼ら彼女らの視線は完全に私をペテン師としてみてるな。

まぁあの試験の内容じゃあそれも仕方ないのかも知れない。


この冴えない中年が凄い魔法使いだなんて話、誰が信じるのかって言う話だからな。

私が生徒や教師の立場なら絶対に信じない、だってこんな冴えないおっさんなんだもん。


しかしその視線を看過できないエルフがいた。

「………なんですか?貴方達は」

「…イオさん?」

イオちゃんの瞳が鋭い光を帯びる、私へのあからさまな侮蔑の視線にイオちゃんがご立腹である。


───────────────────────


今日も3話投稿します。


次の投稿日は来週の火曜日です。









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