(7)ムカつくイケメン、エーグル

◇◇◇学園都市・第3魔法実験場◇◇◇



さっきまで普通に建物の中だったのにドアを開けるとあら不思議。いきなり石造りの闘技場の観戦席の出入り口にいた。


本当にバカでかいコロシアムである、真ん中に円形のフィールドには既に十数名近い人達がいる。イオちゃんの教師スーツに近いデザインの服、どうやら学園の教師で間違いないな。


「行きましょう」

「分かりました」


イオちゃんが飛行魔法で飛んだので私も同じように飛行魔法で続く。

そしてコロシアムの真ん中に着地すると待っていた教師陣の1人が話し掛けてきた。


この人は確か学園の入り口での派手な魔法乱舞の時に喋ってた学園都市の学園長か、確か名前はラーベスさんって言ってたっけ?。


「お互い始めましてかな?私はラーベス、一応この学園都市で学園長を務める者だ」

「こんにちは、私は青野と言う者です」


「今日はイオリア先生からの強い推薦と言う事で特別に貴方の魔法使いとしての実力を見る為にこの場に我々は集まった。期待しているよ?」


本当かい?なんか懐疑的な視線しか感じないんだけどな。まぁいいけどさ。

「……よろしくお願いします」


「では先ずは簡単に説明を、これから君にはこの学園都市で教鞭を取る教師の内の誰かと試合をしてもらうつもりだ、誰か彼の実力を直接確かめたい者は?」


ラーベス理事の言葉に数名の教師が前に出た………何故か知らないが全員野郎である。


「イオリア先生の顔に泥を塗りたくはないが、この程度の魔法使いに学園の教師を名乗られるのは困るんだよね…」

「俺の一撃を防げたらそれだけで合格って事で良くないだろうか!?」

「脳筋発言は控えろウルビーノ……確かに魔力は一般人並みですね、それでは流石にな……」

「はいっ!私の魔法の実験たいに……じゃなかったお互い全力を出して頑張りましょう!」


おうおう、インテリでナチュラルに人を見下してくる金髪のイケメンエルフに身長二メートルは超えてる犬っぽいケモミミの…大男と小人見たいなおっさん。そして教師スーツの上に白衣を着た如何にも頭のネジが飛んでそうな科学者風の男か……。


流石は魔法の学園だ、個性溢れる教師陣である。


果たして頑張って彼らの同僚になる事で私は何かメリットがあるのか疑問を持ち始める。

なんかヤバい連中の仲間入りしそうになってないか?ってさ。


するとそんな個性溢れる教師陣を片手で制して1人の男が前に現れる。人間の様だ。


金髪をオールバックにした、歳は私と同じくらいのヤツだ。顔面偏差値は向こうが圧倒的に上だ、ムカつくくらいのイケメンである。


「この実技試験はこのエーグルにお任せ下さい」


エーグル、妙なウワサを生徒にまで話してるっていう教師か?イオちゃんを食事に誘ったとかって話も聞いたヤツだ。


見れば確かにイケイケな感じがするイケメンだ、言動から見るにかなりの自信家だと思われる。

ムカつくけど…取り敢えず挨拶はしとこうか。

「……よろしくお願いしま…」


「こんな魔法使いを名乗るのもおこがましい魔力の持ち主には、この私、エーグルが身の程を教えてあげましょう!感謝するといいアオノとやら……」


「……………」

いきなりな物言いだな、まぁイケメンの言葉なんて無視してしまおう。


「貴様の化けの皮をはいで、イオリア先生の目を覚まさせる事が私がここにきた目的である。分かったのならさっさと掛かってきたまえ、時間の無駄だからね…」


「…………分かりました。私もこちらの方が相手で構いませんが?」

額に血管とか浮いてるんじゃないかってくらいムカついてる私だ、どんだけ中年を悪役にしたいんだよこのイケメンは。


ぶっ飛ばしてしまいたいです。


「分かった、なら双方の意見の一致と見なして2人に試合してもらおう。アオノ君、君の全力を見せてほしい、そしてエーグル先生、貴方は審査する者として公平な立場で彼の実力を見るように…分かったていますね?」


「ええっもちろんですとも!」

「……………」

そしてイオちゃんや他の教師陣がコロシアムの観客席の方に飛行魔法で移動する。


そして相対する様に私とエーグルがコロシアムの中央に立っている、さあこれからってタイミングにて………。


「おおっ!本当に先生が試合をするみたいだぞ!?」

「本当だったんだ!今日この第3魔法実験場で教師の採用試験があるって話!」


「…けどもう一人の知らない魔法使い、魔力がショボくないか?」

「あっああっ確かに……」


「まさかあの程度の魔力しかないおっさんが学園都市の教師になろうって言うのか?」

「なんかイオリア先生が外の世界から連れてきたらしいわよ?物凄い魔法使いだって…」

「は?アレが?冗談でしょ………」


「……………」

「おや?どうかしたかねアオノとやら?顔色が悪いぞ?」

…………コイツやりやがったな。


多分最初からコイツが試験をする事は決まっていたんだろう、だからコイツは私をフルボッコにし、自分が活躍する現場を見せる為に学園都市の生徒を呼んだんだ。


中々にイイ趣味をしてるよ、この外見だけイケメンは………。














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