(5)金髪ロールのシャルマ

「「ちょっと!横で何をゴチャゴチャ話してるのよ!」」

同時にツッコまれた。


「落ち着きなさいモア、シャルマ、こちらは私が学園都市に招いた客人達です。失礼は許しませんよ」

イオちゃんからの注意に静かになる2人である。


「イッイオリア先生…戻られていたんですね。お元気そうで何よりですわ」

「シャルマも少し見ないうちに随分魔力を上げましたね、日々の鍛錬の成果ですか?」


「フッ……フフンッ!わたくしには努力なんて言葉は似合いませんわ!全て自らの才能ですの!」

金髪ロールちゃんはシャルマと言う名前なのか、それにしても少し嬉しそうに否定しているけど取り巻きの美少女達が可愛いモノを見る視線を向けている……。


思うに彼女は努力を表に出さないように振る舞っているつもりなのだろう、そして見え見えツンデレに回りはホッコリとしてるのだ。

……イラついてるのはこちらの赤ツインだけである。


そして向こうさんの美少女軍団の注目がシャルマちゃんから何故か中年に変わった。


「イオリア先生が招いた方?」

「それって確か昨日エーグル先生が言ってた…」

「そうですよ、確かイオリア先生に上手い事取り入ったとかって……」

「確かに大した魔力を感じませんね……」


昨日?エーグル先生?よく分からないが彼女達の中年の評価がかなり低空飛行してるな。


魔法鎧によってこちらの魔力や強さを探る系の魔法とか特殊能力アビリティとかは全てカットしてるから大抵の人には私はただのオッサンにしか見えないのだ、だから彼女の評価は仕方ない…。


悲しいけどな。

するとシャルマちゃんが中年を見てこちらの知りたい事を教えてくれた。


「貴方がウワサのアオノって魔法使い?私達が授業を受けてる先生の話だと魔力の一般人レベルの男がイオリア先生に泣きついてこの学園都市の教師になろうとしている、なんて話が広がってますわよ?」


「………成る程、そんな風な話が」

「なっ!?ちょっシャルマ、そんなデマを広げたのはだれ……」

「静かにしなさいイオ、今ご主人様が話をしているでしょう?」


リエリが荒ぶるイオちゃんを押し留める。流石は出来る美人秘書モードだ、頼りになる。

(ご主人様………そのエーグルとかいうのを消してきても?)

(ダメです、ストップですよユーリ)


メイドの方も暴走しそうである、何とか止めなければ。

「確かにわたくしも大した魔力を感じませんが、この学園都市でも指折りの才女であるイオリア先生が認めた方です。明日の試験ではその実力を示してくれるのだと考えていいんですね?」


…何だ、貴族とか金髪ロールだからてっきり上から見下す感じで来るかと思ったら案外広い視野を持った美少女じゃないか。

「……はいっ出来る限りの事をするつもりですよ」


「そうっならこれ以上はそれについて聞くのは野暮というもの、皆さんわたくし達はそろそろ引き返しますわ、それでは失礼します」


きびすを返して何処かに行く美少女軍団、他の美少女達の自己紹介がなかった事が少し残念。

「さっさと消えなさいよ!この成金貧乳ロールーーーー!」

「ホラホラ、モアもぶーたれないの~~」


「………2人は仲が良い……」

「ハァッ!?どこがよミラーー!」

「リエリ、そのウワサを流している者を……」


「………落ち着きなさいユーリ、殺気が漏れ出ていますよ?」

ウチのメイドが暴走寸前だ、取り敢えず私も抑えに回るか。


「………全くエーグル先生、彼には困りますよ」

「イオさんの知り合いですか?」


「はいっ人間の魔法使いで優秀な方です。以前何度か食事に誘われたのですが、その時はそんなウワサを鵜呑みにして生徒に話すような方には見えなかったのですが………」

「………そうですか」


中年的にはウワサを広めた事とかよりもイオちゃんを食事に誘った魔法使いで男って事の方が重大だったりするのである。


エーグル、イケメンの可能性はかなり高いと思われる、イオちゃんを狙っているのなら中年も容赦はしないぞ。


「とにかく今度会った時にそれとなく話をしてみますね」

「いえっそれには及びませんよ、やはり明日、私が魔法使いとしてどのくらいの実力があるかを見てもらうのが一番手っ取り早い話ですから…」


「……アオノさん」

「恐らくですがその方も見に来られるのでは?ならその場でそのウワサの是非も決めてもらおうじゃないですか」


実績も何もありはしない外部の人間、それが今の私だ。好き放題言われるのは面白い話ではないが、それも仕方ないと言う部分もある。


なら後は自身の行動で示すしかないのだ。それでその組織の人間が何も見ようとも評価もしないのなら、そもそもそこにいるだけ時間の無駄だ。さっさと次に行った方が良いって話だな。

まっそれはそれとして……。


「それに、私を評価してくれるイオさんの顔に泥を塗るつもりはありませんのでご心配なく」

「………分かりました、けど私は心配なんて最初からしてませんよ?アオノさん」

「そう言われると嬉しいですね」


イオちゃんの信頼には応えたいと思う中年である。
















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