(12)豪華な屋敷
◇◇◇魔法学園都市・豪華な屋敷◇◇◇
豪華な屋敷である、それぞれに個室がありそこも結構広いのだ。ベッド大きくドレッサー的なヤツもある、全体の雰囲気はフランス貴族の屋敷の部屋?って感じを思わせる作りだ。
………いやっフランス貴族部屋とか知らんけど、なんか赤い高価な絨毯もひかれてるし、ベッドにはシャンデリアもついてるからさ。
「内装が豪華過ぎて落ち着かない……」
悲しき貧乏人の
「オイッアオノ!なんだこの屋敷の部屋は!明らかに生活水準がそこらの貴族よりも上じゃないか!?これっ後で金を請求されたりしないんだろうな!?」
「アオノ!この屋敷広いだけじゃなく置いてある調度品も家具も全てかなりお高いぞ!遊んで壊したら怒られるだけじゃすまなそうだ!」
「…………」
いきなり部屋のドアを開けてきた。
良かった、私と大差ないおのぼりさんがいた。俺っ娘と精霊幼女である。
遊んで屋敷の物を壊してはいけないと思うよ?。
……いやっいいのかな?……精霊幼女よ、本当に遊んで壊したりしたら怒るからね?。
「まあまあ、たまにはこう言う場所で休息出来るのもありがたい事ではないですか」
「何をカマトトぶっているんだ、お前も豪華さに圧倒されてる側の立場のくせに!」
……本当にこの精霊幼女にはお説教が必要だよな。
「ラブーンさん?」
「ッ!?わっ私はもっと他の部屋も見て回るぞ、さらばだぁっ!」
チッ…逃げたか、こんな時の逃げ足は本当に速い精霊幼女だ。何しろ宙に浮いて壁をすり抜けたりも出来るからな、そりゃ速いよって話である。
「………本当に何だったんだあの精霊は?」
「さあ?ああいう方ですからもう慣れました」
「そうか、所でアオノ。あのメイドと秘書は何処にいるんだ?」
「リエリとユーリならこの学園都市の情報が欲しいと言ってましたから市街地にでも出掛けてるのでは?」
あの2人は基本美女なゴーレムだ。しかしあの姿だけが彼女達の姿ではない、その気になればデカイモンスターにも小さな小動物や虫の類にも変身出来るのだ。
無論他人にも変身出来る、相手のDNA的な情報がいるから血とか髪の毛とかを少しもらう必要はあるけどね、そして彼女達には変身した者の記憶までも知る事が出来る。
まぁそこは魔法1つで他者の心を読む魔法とかも使えるのでそちらを主に使うから、最近出番が減ってる能力なんだよな。
多方面に活躍出来る美女ゴーレムなのに、今一彼女達のスペックを発揮出来ていないのではと中年は心配してしまう。
「………そうか」
「どうかしましたかシアさん?」
「いやっ情報収集をあの2人がするのなら俺が出張る必要もないだろうからな、なら俺達2人は屋敷の中でも見て回るぞ、来いっ」
「?、分かりました」
オラオラなシアちゃんの誘いである、美人に弱い中年はスゴスゴと従う事にする。
屋敷を探索するという旅行に初めて来た子供がホテルでする様な事をしている三十路野郎と美女である。どんだけ暇だって話だよな。
探索の結果、やっぱりこの豪華な屋敷はすげぇ~~って事が分かった。
部屋数も多いしリビング広いし調度品高そうだしでこんな中年がいるのが不自然過ぎる場所だ。
そして屋敷のベランダに出て風に当たっているとシアちゃんから話をされた。
「……アオノ、1つ聞いてもいいか?」
「はいっ何でしょう」
「お前は旅をしている冒険者なんだよな?そしてその行く先々で、まぁ色々と面倒事を引き受けて、最終的に丸くおさめている」
「………ええっまぁ」
別にそうしたくてしてる訳じゃないよシアちゃん、だけもほっとくと無関係の人とか他のファンタジーな種族の皆が大変な事になるって状況だから仕方なくやってるだけである。
「俺はお前と共に旅をして様々な場所に行くと聞いたから同行する事にしたんだぞ?この学園都市で教師になると言うなら……」
ああっ成る程ね、シアちゃんの言いたい事は分かった。彼女は私達と旅をする事が目的でついてきたのだ。ここで私が先生になったら旅がそこでもうお終いって事になるのを危惧しているのだ。
「それなら問題ないんですよ?」
「何?それは何故だ…」
何故なら私はチートな魔法使いだからである。
私は魔法を発動した。私の隣に魔法陣がブゥンッと現れる、そしてその真ん中に人影が現れた。
「!?」
現れた人影は……私だ。
実にフツメンな冴えない顔のおっさんがここに2人並んでいる、なんて不毛な光景だろう我か分身ながら見ていてもなんも楽しくないぞ中年野郎。
おっと自身の外見を卑下しても余計に虚しいだけだ、驚くシアちゃんに私の案について話そう。
「これは私の魔法で創り出したもう1人の私、要は分身ですね、もしも私がこの学園都市で教師になる事になったとしたら彼の出番になるかと…」
この魔法があれば学園に居ながらにして旅も出来るのだ。チート魔法だから出来る事だけどな。
私の話でシアちゃんは合点がいったという表情を浮かべた。
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