(6)入学式

「ふぅ~ん、随分とイオリア先生とは親しいのね、それとアオノ?変な名前ね……」

「名前は親からもらった物ですのでどうか御容赦を、そしてイオさんとは数ヵ月ですが共に旅をしてきました、彼女の知識にはよく助けられました」


「………すっ数ヵ月、一緒に……」

「ほぇ~~イオちゃ~~んムフフフフフ……」

「………………ッ!」


赤ツインの言葉に素直に答える、すると銀髪ボブと青ロングがそれぞれの反応をしなんかイオちゃんが少し気恥ずかしそうにする。


……やはり中年と旅した事実は隠しておきたい黒歴史的な扱いなのか?それだとおっさんは少し悲しい。

「数ヵ月間、旅を?……イオリア先生に限って変な魔法を使われたとは思えないし……」


変な魔法?魅了魔法とか洗脳魔法とかかい?そんなの使いそうに見える?………見えるのか。


普通に考えてこんな冴えないおっさんが美人にヨイショされるとかそんな犯罪臭がする魔法でも使わないと有り得ないってのが彼女達の見解なのかも。

「ふぅっモア?流石にそれ以上彼に失礼な態度で接する事は辞めなさい、怒りますよ?」


「ッ!?…………しかし」

「いいですか?彼もその連れの方も私の方からお願いする形でここまでの長旅をしてきてもらっているんです」

「………分かりました」


イオちゃんが赤ツインを大人しくさせる形で空でのトークイベントは終了した。


「アオノさん、あの都市の中央に広がる大きな広間がありますよね?あそこに人が集まっているのが見えますか?」

イオちゃんの話を聞きながら都市の真ん中を見る。


「確かに私達と同様に飛行魔法で移動する人も歩きで移動する人も、人の流れを見る限りあそこに向かっている様に見えますね」


「はいっ外から集まった者と帰還した学園都市の人間はまずあそこに1度集まる事になっているんです」

へえ~~言われるとあそこだけどこぞの島国のスクランブル交差点みたく人口が密集してる。


3密無視の大集合、ここから見れる範囲でも人間や獣人やエルフにと実にファンタジーな世界の種族が集う光景は圧巻である。

我々はイオちゃんの導きの元、あそこに向かう。


個人的には人が多すぎる所とか苦手な私だ。


◇◇◇学園都市・中央広間◇◇◇


集まりから少し離れた場所に着地する。


パーティーメンバーの皆もイオちゃんの生徒さん達も一緒だ、さてっここで何があるんだろうか?。


「ほうっここに集まった連中、どいつもこいつも中々に魔力の高い連中ばかりだな」


「イオが以前話していました。この都市の人間は外の世界、つまり他の国や大陸に渡り魔法の才能がある者を見つけてはこの学園都市に連れてくるんだそうです」


「世の中には才能を持ちながら生まれや境遇でその才能に気付くことなく生きる者が案外多いと言う話でしたね」

シアちゃんに答える様に話すのはリエリ、次いでユーリである。


学園都市ってそんな1本釣り的なやり方で世界から人材を集めてるのだから本当に凄いよな。

そして結果としてここまでの大都市を築いてるんだからやっぱり必要な人材は探して集めるってスタイルは理にかなってるんだな。


「……そろそろ始まりますね、これは魔法学園都市での入学式です」

「「「「「入学式?」」」」」


イオちゃんが変な発言をした瞬間、空に幾つもの魔法陣が出現した。

その魔法陣から現れるのはこれまでこの世界でも見たことがない様なファンタジーな生物ちである。


翼の生えた白馬のペガサス。獅子の身体に鷲の頭と翼を持つグリフォン。派手な色合いの巨大な鳥のロック鳥。


他にも翼もないのに空を走ってるヤツもいた。

首が長くない方の空想上の生物である筈の麒麟キリンやケンタウロスにバイコーン。


正直あくまでもそんな見た目のヤツだと思われる存在だ、正式な呼び名とかよう知らんのがいっぱいである。ファンタジーの本気を見たな、格好いいじゃないの。


「入学式ですか……確かにこの場にいる方達の殆どは学生となったの生徒達だ。ならこれはそんな新しい門出を迎える方達への……」


「そうです、これは言わば歓迎の証。この学園都市の全ての魔法使いが君達を歓迎してますと言うものなんです」

「……成る程、道理であの数の幻獣達を見ても誰もが驚きこそすれ怖がってはいないのですね」


「おお~~~っ!人間界では殆ど見ることのない筈の者たちじゃないか!?」

イオちゃんの言葉に納得した中年とリエリ、お上りさん全開の精霊幼女はまた何処かへ行かない様に注意だけはしとこうかな。


イオちゃんの言うとおりアレはこの世界で幻獣と呼ばれる、要はファンタジーな生き物だ、何を食べて生きて寿命がどれくらいあるのかとか私には全く分からない不思議ちゃん達である。


しかしそのバラエティーに富んだ様々な姿をした幻獣達が空から現れると言うサプライズは中々に素晴らしい物である。


ここに集まった多くの人々が歓声を上げている、姿こそ見えないがこれらを召喚した術者の人達へと感謝の思いを表しているんだ。


そして中央広間から先にはこれまた横にも縦にも長い白い階段があり。それの続く先には超大きな城がある。

その城の出入り口から結構な数の人達が現れた。


その姿はイオちゃんがいつも着ている装飾的なのが施された教師スーツみたいな物とデザインが同じだ。男物と女物では下がスボンとスカートかで違うしデザインが若干違う人も多いが大まかなデザインは一緒である。


つまり、あの場に立っている人達は……。


「イオさん、あの方達は」

「…はいっこの彼らがこの魔法学園都市で教鞭を取っている魔法使いです」


イオちゃんがとても誇らしげな笑顔で返事をした。






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