(5)イオちゃんの暴走

どうしよう。イオちゃんの褒め殺しが止まらんぞ。

いつもはクールビューティーで人のこと(特に中年)の事なんて褒めないのになんかいきなりヨイショが凄い。


ゴーレムツインズが袖の下でも渡してるんじゃないの?。

(ご主人様。イオはリエリやユーリの前だとこんな物です)


リエリが普通に中年の心を読んだ上に念話で心に話し掛けてくるんですけど。

しかしイオちゃんのこんな態度に驚いているのはどうやら向こうさんも同じらしい


なんかイオちゃんとイオちゃんに誉めまくられる中年をものすっごい詐欺師でも見てる様な目をしている。

イオちゃんにシーラって呼ばれてた青色の髪をしたウェーブのかかったロングヘアーの子はフッフッフと謎の笑みを浮かべていて、これはこれで怖い。


あっすこし離れた。

「ミラ……なんかイオリア先生の様子がおかしすぎるんだけど!?」

「………何かの洗脳か……─魅了魔法?」

「はぇ~~あのイオちゃんがね~~ふふふのふ~~ん」


なんか銀髪ボブが中年をかなりヤバイヤツ認定してる気配を感じる。

しかしこれに構うことない無敵の人、イオちゃんはこの場の指揮を執り始めた。


「それでは移動しましょう、ここからは徒歩か飛行魔法かどのみち自分達で移動する事になります目的地は見ての通り学園都市です」

イオちゃんが指差す方に実にファンタジーな街並みの大都市が見える。


「ご主人様、この飛行艇の集合場所から学園都市までは約十キロほど離れています。飛行魔法なら数分でつくかと……」

「分かりましたユーリ、イオさん、では飛行魔法で移動をするんですか?」


「はいそうです、この場で飛行魔法が出来ない者はいない筈ですからね」


イオちゃんが飛行魔法で浮いた、それを皮切りに1人、また1人と生徒さん、そして私のパーティーメンバーが浮き始める。


私も空に浮かんで移動開始だ。


◇◇◇学園都市・上空付近◇◇◇


空の人になって進むことしばらく、我々の眼下にはとてもファンタジーな街並みが広がっていた。


レンガを積み上げた実に中世ファンタジーな世界を再現した感じだ。

あの手のゲームの街並みを再現したジオラマ、それがそのまま大きくして都市にしてしまったかのような感じである。


とにかく広大な都市だ、視界の向こうまで街並みが続いている。

レンガの建物も軽く10階建て以上ありそうな物がズラリと都市の中央を走る街道にそって軒を連ねる。


街道も広く、馬車が通る車道と人が通る歩道が分けられている様だ。車道が真ん中で左右が歩道みたいである。


街並みこそ中世的なイメージ、しかしその発展具合と人の活気やら多さは正に大都市って感じである。

イオちゃんの説明ではこの学園都市の総人口は数百万越えしてるらしく、都市としては大陸でも指折りだとか。


そして学園都市なのでそこに住む国民は全員が学園都市で生徒さんか教師、またはそれ以外にも様々な学園都市に必要だとスカウトされて人材で構成されているらしい。


中でも学園都市の教師は権威があるらしく、他の国の貴族と大差ない立場にいるらしい。

「これ程に大規模な都市を私は初めて見ましたよイオさん」


「!、フフッ私もこの学園都市は誇りですから、そう言ってもらえると嬉しいですね」

おっとおのぼりさん全開だったな、少し冷静になろうっと。


「このエルマは学園都市として生まれて軽く数百年以上の歴史がある都市です、私の様なエルフからしても長い歴史を感じますね」

「数百年?それはまた凄い話ですね」


そんな長いこと存続してる都市なんて、前の世界だとどれくらいの数あるだろうか?。

「イッイオリア先生!」


私とイオちゃんが話していると、会話に割り込んで来た子がいた。

この赤いツインテールはモアちゃんって呼ばれていた子である。


「はいっどうかしましたかモア」

「イオリア先生は外の世界に魔法学園都市の新しい生徒になれる才能を持った子供を探しにいったんですよね?しかしそれらしい子が1人しか…」


モアちゃんの言葉に精霊幼女がえっまさか私か?って面食らった顔をしている。妙にラブリーって感じてしまった、私はロリコンじゃないのに。


「……そっそれは」

イオちゃんが言葉に詰まる、彼女との出会う事になったとある島では色々あったんだよな……。

「モアさん、その話なら私から……」


「私はイオリア先生と話をしてるの、少し静かにしてくれる?」

………結構強めに出られたな。


「イオさんにも話すには心の準備が必要な事もあります、それに長旅の疲れもあるんです。そこをおもんぱかる事をしてあげて下さい」

取り敢えずこの手の強気女子には下からお願いする、軽く会釈して頼む様にする私だ。


「「………………」」


ユーリと何故かシアちゃんが無言の圧力をかけてきた。多分ヘコヘコすんなって事なんだろうな。


長年社畜してると2種類の人間が生まれるのだ、1人は私みたいに誰にでも敬語で話すタイプと人によって言葉遣いも態度もコロコロ変わるタイプね、後者は特に同じ所で働く人に嫌われる事が多い。


私もその手の人間とは合わない事が多い、だからこそこう言うハッキリと態度に出せる若者に上からマウントを取るような真似はしたくないんだよ。


正直である事や素直な事が正しいと子供に教えたのは他ならぬ大人だしな。












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