(4)ストップだよ
「………分かりました、前向きに検討してみます。何事もやってみなければ分かりませんから」
「あっありがとうございますアオノさん!貴方の助力があればこの学園都市は更に素晴らしい場所になりますよ!」
イオちゃんの可愛さに中年は折れた。
今も輝く様な笑顔が眩しいよ、二十代くらいの美人がこんな無邪気なスマイルとか反則だろ。
美人の色気と可愛さをミックスした、魔法を超えしファンタジー世界最強の兵器である。
イオちゃんにいつまにかここまで信頼されていたとは、なんか意外だった。彼女は基本的に他人をヨイショとかしないエルフだから。
そんなイオちゃんに期待されてるんなら、まぁ学園都市の教師でも生徒でもやってみょうじゃないの。
「オイッ!エルフ!私にもこのエルマを案内するんだぞ!」
「……お前がその気なら俺は何も言わん」
「ユーリはご主人様がしたいようにするべきかと」
「リエリはご主人様に従いますが、イオ、あまりご主人様を困らせる事はしないように」
そしてパーティーメンバーの彼女達にも反対意見は取り敢えず抑えてくれたようである。
「イオさん、その話はどのみちこの学園都市の方達に話を通す事が必要だと思われますので……」
「はいっ確かにその通りですね。先ずはその事を私から学園都市の人間に話をするつもりです」
そうそう、話を事前にしとくって大事。
イオちゃんが喜んでくれるのは中年も嬉しいけど他の人に迷惑とかかける様な事はしてほしくないからね。人事異動的な意味でも。
まぁイオちゃんなら滅多な事はないだろと信頼してる私だけどさ。彼女は何かとスマートな気配りが出来る美女エルフである。
「それと、皆さんは空の旅で疲れもあるかも知れませんから今日の所は私が用意する客室で……」
イオちゃんから今後の説明を受けようとしていた時である。
「あっイオちゃ~~ん!」
「コラッシーラ!イオリア先生でしょ!」
「……イオちゃんって呼ぶと怒られるよ?」
おや?見知らぬ3人の美少女が現れた。尖った耳、3人とも恐らくエルフである。
どうやらイオちゃんの事を知ってる様だ。
多分生徒さんではないかな?同じ紺色の女子服にスカート、肩から腰までの少し短い赤マント見たいな物をしている。
ちなみにスタイルが良いのは青いウェーブの子がグラマラス、赤いツインテールが中々、銀髪ボブカットが控えめって感じですな。
「シーラ、モアにミラも……わざわざここまで来たんですか?」
「そうだよ~~何ヵ月ぶりかにイオちゃんが戻ってくるって聞いたからね」
「……イッイオリア先生には授業でお世話になってますし、迎えくらいは……」
「私は2人の付き添いですよ!子供じゃあるまいし普通に学園都市で待ってればよかったのに……」
「……フフッありがとう3人とも」
まっここは学園都市、イオちゃんが教師として働く場所である、そりゃ知り合いの生徒さんもいるに決まってる。
彼女達は多分イオちゃんが授業を受け持った生徒さんって所だろう、イオちゃん面倒見よさそうだしやっぱり慕われてたりするんだろうな。
「………ところでイオリア先生、その後ろの人達は一体誰なんですか?」
赤色の髪をツインテールにしてるつり目の娘さんが当然の質問をしてきたな、他の2人もこちらを気にしている。
よしっここは見た目だけは群を抜いて歳くってる中年がスマートに仲間の紹介を……。
「この人達は私がとても尊敬する人々です、今回無理を言ってこの学園都市に来てもらったんですよ」
「!、そっ尊敬する人々ですか?…」
「はいっ皆さん学園都市で教鞭を取っている人達にも勝る実力を持ち、何よりその力を人々の為に振るう人格者です」
「へ~~!それは凄いな~~」
やばい、イオちゃんが暴走してるかも、人格者なんてここに1人もいないよ?。
中年は基本スケベだし、ゴーレムツインズも人々の為になんてタイプじゃない。
俺っ娘と精霊幼女に至ってはよう分からんってのが本音だ。
「そしてこちらのアオノさん、彼は……」
「…………普通のおじさん?」
「断じて違います」
銀髪ボブカットのボソッとした言葉に突っ込みを入れたのは銀髪ツインテールのユーリである。
そしてイオちゃん、分かってるよね?中年はヨイショしてもそんな偉そうに振る舞えるタイプじゃない事を。
……大丈夫、信頼してるよ?これまでそれなりに旅を共にしてきたんだ。
私達は仲間だよね?ここで変に中年を推されてもこちとら困るだけなのはイオちゃんも分かって……。
「私は彼に世界の広さを教えられました。そして魔法使いとして私自身がまだまだ若輩者である事もです。アオノさんは私が知る中で最高の魔法使い、いずれ貴女達にも彼に教師として……」
ストップだよイオちゃん、お願いだから止まってってば。
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