相対論的生物

 さらなる余談として、宇宙怪獣的(?)な「相対論的生物」の認知がどうなっているだろうか? 勿論それは定かではないが、彼らは日常的に相対論的熱力学の中を生きており、時空の歪み、特に時間の遅れのような現象は、身体的に自然に感じているはずである。

 逆に彼らにとって我々の「平坦な時空」は見出し得るものだろうか? ある相対論的生物が彼らにとって特別な計量を持ち得ることは想像に難くないが、それに普遍性を見出すことはできないだろう。我々が遠く離れた天体から時空の歪みを見出したように、相対論的生物の文明が発展する過程で、彼らは「平坦な時空」という概念を獲得するのではなかろうか。


 巨大生物の弱みは、重力の影響を強く受ける点にもある。炭素を利用した高分子によって様々な機能を実装しようとすると、大質量になるほど電磁相互作用より重力相互作用が勝ってくるはずなので、自身の生み出す重力に阻害され、複雑な構造を維持できなくなるのではないかと想像してしまう。

 しかし地球程度の大きさであればその表面には様々な生命や気象現象が存在し、充分過ぎるほど混沌としているし、炭素生物と惑星の中間のような存在はこの宇宙に許容されていてもよいと感じる。


「相対論的」の冠の地位を極限まで引き下げれば、例えば磁力を利用する生物は相対論的と言えなくもないし、光速の有限性が効いてくるサイズの生き物もまた相対論的と言えなくもないかもしれない。

 オンラインで対戦するゲーマーは相対論的生物だろうか?

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