春は桜ではなく、君に出会う季節だった……。

フラットに書かれている文章。なのに圧巻の表現力を持っている。所々"色"を描写しているので、この作品の世界は色鮮やかで、フラットな文章と合わさって、絶妙ないい塩梅になっている。

地の文の描写は、とにかく丁寧で、しかも不自然な部分がない。説明する感じでもなく、主人公を取り巻く環境、主人公の趣味、主人公の人柄が分かってしまう。

端正な顔立ちを持ちながら、クールに見られるせいで友達を持たない『白雪姫』に、主人公が思ったことは、主人公の心の優しさ、人柄の良さを滲ませる。

登場するキャラは個性的で、親友からどこかのカフェの店員さんまで、その人の言葉で、その人の内面が分かるほど、セリフは考案され尽くされていて、非の打ち所がない上に、とてもユーモアで思わず口角が上がってしまう。

フラットな文章だからか、それがまるで自分が見ている、体験しているかのような錯覚を起こし、主人公の身に起こる理不尽な出来事に怒りを覚えてしまう。

そんな中……『白雪姫』は……。

1話だけじゃなくて、5話まで読んだら、貴方はこの作品の虜になってしまうでしょう。

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