Eメロ(大サビ) Part1

九時ちょうど。休日だからか、ほとんど誰もいない駅のホームに、見慣れたシルエットがやってきた。


「よし、行くか」

「う、うん!」


 …「待った?」「ううん。さっき着いたばっかりだよ」みたいなのを期待してたんだけどな…。まあいいや!せっかくの初デート、楽しまなきゃ損だよね!






「ここから二十分ほど歩くけど…いけるか?無理そうならタクシー呼ぶから言えよ?」


「多分大丈夫。ありがとう」


 すっごく心配してくれてる…ありがたいな。これならもし私が倒れても…。いや、こんな仮定はやめとこう。気分が重くなっちゃうし。





 

 「よし、着いたぞ。…ここ、かなり大きいな」

「うん。そうだね。私も初めて来た」

「チケットは買ってきたんだが…。このまま入れるのか?」

「そうなの?ありがとう!多分そのままいけると思うよ」

「そうか」


 後でお金、返さなきゃな…。覚えとこう。


 入場口は駅のホームみたいな作りになっていたため、すぐに入ることができた。


 中に入るとすぐに、カラフルな魚が私達を歓迎してくれた。


「綺麗…」

「だな…」


「あの青いきれいな魚、何ていうんだろう…」

「多分ルリスズメダイだな」

「え…凄いね!魚好きなの?」

「まあ…な。ちょっと詳しいくらいだ」

「じゃああれは?」

「スダレチョウチョウウオだな」

「この子は?」

「こいつもチョウチョウウオだ。シテンチョウチョウウオだと思う」

「すっごいね!白夜君がいると、水族館がいつもの十倍楽しめそう!」

「それは良かった。そろそろ次の水槽に行くか?」

「うん!」


 白夜君がまるでツアーガイドさんのように魚の名前や生態を教えてくれたお陰で、水族館を本当に楽しめた。


「もう十二時か。ここで昼飯でも食うか」

「うん。どこかお昼ごはんを食べられる場所、あるかな?」

「あそことかどうだ?」


 水族館の中にカフェがあるみたい。良さそう!


「うん!じゃあ、ここにしよっか」






「いろんなメニューがあるな。何にする?」

「私はパフェにしよっかな」

「そっか。じゃあ俺はこのラテアートコーヒーにする。 すいませ〜ん。注文、いいですか?」




 パフェとコーヒーが来た。すごくきれいなパフェ。綺麗な南国の海を彷彿とさせるような透き通るような青い色と、ソフトクリームの白色のコントラストが、まるで砂浜のよう。


「「いただきます」」


「ん!美味し〜い!」

「だな」


 爽やかな甘みが口を通り過ぎていく。甘さがあとを引かないから、食べやすく、とても美味しい。歩き疲れた体が癒やされていく。


「疲れてないか?」

「うん。まだ大丈夫だと思う」

「そうか。なら良かった。そろそろ行くか?」

「うん。ごちそうさまでした」

「ごちそうさま。じゃあそろそろ、外に出るか」

「…うん」


 …凄く楽しかった初デートも、そろそろ終わりか…。寂しいな…。

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