第12記:駄文

 眼が覚めた。枕辺の時計を確認すると、文字盤が「朝の7時」を示していた。ちょっと寝足りない気もするが、そろそろ起きた方が良いだろう。

 今日中に雑用類を潰してしまうつもりであった。明日の天気予報が「雨」だからである。雑用の王様である洗濯をやっつけてしまうのならば、今日の内である。傘を差してランドリーに行くのは、異様な面倒臭さを伴うし、第一、雨天の場合はベランダに脱水ものが干せない。

 乾燥に関しては、太陽任せだ。お日様が雲上に隠れてしまったら、俺の洗濯作戦は成立しないのである。

 出発前に湯を沸かし、コーヒーを淹れる。コーヒーも酒も、最初の一杯は常に美味だ。朝食代わりの「ホイップなんやら」を齧る。果たして不味い。どうにもならない。これに比べると、職場(の敷地内)にある売店で売っているドーナツはまあまあの味と云える。コーヒーの味も悪くない。店側も相当研究しているのだろう。コンビニ業界も競争が激しそうだし。


 パンもドーナツも好きだけど、本当はご飯が食べたい。炊き立ての飯と根深汁―葱の味噌汁、そして、新鮮卵と季節の漬物…池波(正太郎)ワールドに登場する朝食なんて最高である。

 堅気時代は、居酒屋さんの朝食サービスを利用していた。宿泊所の近くに夜通しで営業している店があったのだ。記憶が曖昧だが、ハムエッグ定食が当時の値段で400円ぐらいだったかな?旨かったし、安かった。

 マスターは多分寝ていない。深夜から早朝へ。不眠不休のまま商売を続けているのだ。体力がないと勤(務)まらない仕事である。少なくとも、俺には無理だ。


 帰宅後、愛機を動かして、ぴよぶっくを呼び出す。ダサク1頁とダブン2頁を書く。前者は一向に終わる気配もない。今日の投稿内容は、前から書きたかった「将棋(チェス)の話」である。実際にやってみると、案外難しい。編集中、頭を抱える。書きたいことと、書けることは、必ずしも一致しないのだ。後者は割と楽に書ける。次の目標である200次元を目指して、長い旅が始まった。〔5月15日〕


♞文中の「ベランダ」は、やがて「バルコニー」に変わるはずである。居酒屋の朝飯は確かに旨かった。たまに一晩中呑み続けていたと思われる酔っ払いグループが騒いだりしていたが、トラブルに巻き込まれるようなことはなかった。チェスを実際に指したのは、この年が初めて。クラブ放逐は翌年。

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