徐々に全体図が浮かび上がり、細部が見えてくる

物語の進行の仕方に、まるでパズルのような印象を受けました。
意図的にパラパラと提示される情報(世界観や登場人物に関する)の断片。その背後には明らかにしっかりとした土台が見てとれるのですが、読者にはまだハッキリとしたことはわかりません。
物語が一人称で進むのが良いなと思います。(シヅキにとっては社会システムや過去のことは当たり前のことであり、わざわざ説明口調で思い浮かべるものでもないと思うので)

盗み出された死体を追うシヅキ、そしてそのシヅキを追う読者。
シヅキは死体を取り戻すために情報を獲得していき、読者は死体の行方と共に、物語に関する断片的な情報を獲得していく。
そうして、最初は曖昧だった世界観の枠組みが形をなし始め、ひとつひとつを見るだけではどこにハマるかわからなかったピースが繋がり始める。

読めば読むほどに世界が明らかになり、そのことに楽しさを覚えました。
まだ序盤ですので、これからどんなことが語られるのか、物語がどんな展開を見せるのか、楽しみです。