鉄火之妖狐

世界各地にて言い伝えられる様々な空想生物。しかし、それらは実在していた。
争いの怨嗟、何かにすがる強い願望、信仰のあつい者たちの信念。強い想いは具現化し、物の怪や神として人々の前に現れ、災いを招くこともあれば、利益を与えることもあった。
かつてはこの日本にも物の怪や神々が存在したが、現代に彼らの姿はない。それは、人々の想いの力が薄れてしまったからである。
　
時は江戸時代。戦国の世に終止符を打った徳川将軍家が統治する日本。
太平の世を迎え文化が花開いてゆく一方、戦場で散った者たちの怨念が各地で被害をもたらし、江戸の町では多くの犯罪が横行していた。
そんな数々の悪から人々を守り、歴史に名を残さなかった一人の忍びがいた。
その忍びの名は『狐々丸』―――
妖狐にして、火炎の刃を振るう正義のはぐれ忍者、鉄火狐々丸。