第13話 卒業式

「告白…していいのかな…」

 女子高だから、先生に憧れていただけなのかも…

 大学へ行って、社会へ出れば、もっと素敵な出会いがあるのかもしれない。

 だけど…先生が好きという気持ちは嘘ではない。

 そんな想いで1年が経ち、私は卒業式を間近にして悩んでいる。

 女子高生じゃなくなれば、先生とも付き合える。

 そう自分に言い聞かせながら1年間、告白せずに膨らむ気持ちを抑えてきたはず…なのに。

 卒業を目の前に、私は迷っている。

 現実と可能性を天秤にかけている。


「告白する勇気が無いだけかも…」


「ダメなら未来の恋を探しに行けばいいだけ…」


 私は、逃げている。

 結局…フラれるのが怖いだけ、だからいつも妄想で恋して殻に閉じこもる。

 誰かが、きっといつか…殻を割ってくれると期待している。

 今だって先生の方から…なんて思っている。


「先生…ありがとう」

 結局、好きですと言えないまま卒業式が終わった。

 校門から外に出ると、もう戻れないんだと実感した。

 過去と未来、校門は、その境目のような気がした…。


 家に帰って鏡の前に立つ、制服を脱ぐと少しの寂しさ。

「卒業か…」


 気持ちは変わらない…と思う。

 でも…戻れない。

 翌日、美容院で髪を切った、メイクを習って、帰りに服を買った。

 鏡の中の新しい私に…

「好きと言わせる、いい女…になれ…ワタシ」


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