魔方陣の正体を突き止めよう 3
魔力を注いだとたん壁の絵が光出した。
まずい!!
俺は咄嗟にミーアを抱き抱えて、結界を張る。
光に包まれながら結界が間に合うかどうか微妙なタイミングだったが何とかミーアを守ることは出来たようで一安心。
だけど、光が解けてきてそこで見た光景は想像を絶するものであった。
「ま、まさか!」
そこで俺が見たものは、見慣れた街並みを覆う真っ暗な靄と溢れるゴブリン、そして逃げ惑う人々の姿であった。
「ヒロシー、早く助けなきゃ!!シールやシーラがーーー!!」
「ミーア落ち着くんだ。ここにはシールもシーラもいないよ。」
「どうしてだよーー、僕達が住んでいた町じゃないか!!」
「落ち着いて。ここは俺達の住んでいた世界じゃない。似ているけど違う世界なんだ。
ほらよく見てごらん。バスや無人車両も地上にあるだろ。地下駐車場に向かうエレベータ入り口も無い。
ここは明らかに俺達がいた時代よりも昔の時代なんだ。
おそらくあの祭壇の下にあった硬貨が発行された平成20年くらいだと思う。
そしてこの時代を俺達も過ごしていたけど、この町がこんな災害にあった記録が無いんだよ。
だからここは俺達のいた世界じゃない。
ここは俺達の世界の並行世界、そうパラレルワールドなんだ。」
ミーアは混乱していて理解できていないようだけど、俺達がいた世界じゃないってことだけは分かってくれたようだ。
「だけどね、違う世界だからって救わないなんてありえないよ。
さあミーア、魔物達を駆除するよ!!!」
「オーーーーー!!!」
俺達はゴブリン達魔物を相手に無双する。
幸いこの世界には魔力が豊富にあるようだ。いや、だからこそ魔物がこれだけ現れているのか。
収納に入れてあった蜘蛛の糸のジャケットを取り出してミーアに渡す。
ふたりで空を駆けながら次々と風魔法でなぎ倒していくとみるみる数を減らしていくゴブリン。
ミーアは逃げ惑う人々に襲い掛かるやつらを魔力で作った剣を振り回して切り倒している。
縦横無尽に飛び回り、次々とゴブリン達に襲われている人々を助けていくミーア。
重力が元の世界よりも弱いみたいで動きもなめらかに見える。
時々行き過ぎてしまって制動が難しそうではあるけどね。
俺はゴブリンがやって来る方向に向かうことにした。
少なくはなったものの居なくなる気配がないんだ。
きっとどこからか湧き出しているに違いない。
倒しながらどんどん進んで行くと光の渦が見えてきた。
きっとあそこだよ。あそこに召還の魔方陣か何かがあるに違いない。
側まで行くと、光輝く魔方陣からゴブリンが溢れている。
間違いない。
俺は魔方陣に風魔法をぶっ飛ばした。
風魔法は魔方陣から出てくるゴブリンを切り刻むんだけど、魔方陣には届かない。
土魔法で大きな岩石を作って落とす。
次々に出てくるゴブリンを押し潰した岩石は、そのまま魔方陣に吸い込まれた。
その後火魔法も水魔法も試したんだけど、飲み込まれるだけで壊すことが出来なかった。
「ヒロシーー、結界で覆っちゃえばーー。」
その手があった。
魔方陣をすっかり覆う大きさの結界を魔方陣を覆うように発動。
結界の中には強力な風魔法を入れておく。
結界内の魔方陣は相変わらずゴブリンを吐き出すんだけど、出てきたゴブリン達は次々と風魔法の餌食に。
やがて切り刻まれたゴブリンだったものに少しずつ 魔方陣が包まれていく。
そしてゴブリンを吐き出す勢いが治まってきた魔方陣は、一気に姿が見えなくなり、やがて消滅していったのだった。
念のため、結界の中に巨大な火魔法を入れて全てを焼却してから結界を消した。
「ふうー、やっと終わったようだね。」
「ヒロシーー、まだ怪我している人達がいるよ。
治療してあげないと。」
「そうだね。じゃあ、一気にかたずけてしまおう。」
俺は上空1000メートルくらいまで上がって上から回復魔法を下に向かって発射。
良い具合に散らばって地上に注ぐ。
ちょうど俺の後ろに出てきた太陽の光を背に蒔かれた回復魔法は次々と傷付いた人々を癒やしていった。
「ミーア、他でもこんなところがあるかもしれないから、他のところの様子を見に行こう。」
「わかったよー。」
俺達ふたりは朝の光が差し込み出した空へと飛び出して行った。
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