運動会を楽しもう2
「ヒロシー、リレーが始まるよー!」
「ヒロシ様、ヒロシ様はお走りになられないのでショウカ?」
「ヒロシ様の順番もご用意いたしてオリマスガ。」
思ったよりエルフって体力があるみたい。
美男美女で身体の線も細いからそんなに体力が無いのかと思っていたんだけど、とんでもない。
早朝に始めて昼には終わろうと思っていた運動会も既に夕刻になりつつある。
徒競走と玉入れ、棒倒し、リレーくらいしか競技を準備していなかったんだけど全員が全ての競技に何度も挑んでいるので、開始から10時間経った現在、ようやく最後の競技リレーが始めるところである。
最後のリレーは全員参加で俺も走ることになっているみたいのだが、こんなに長くなるとは思っていなかったので、まだどの競技にも参加していないはずなのに既にへとへとになっている。
でもミーアを始めほとんどのエルフはまだまだ元気いっぱいみたいだな。
中には10時間動きっぱなしって猛者も結構な人数いるみたいだし。
「ヒロシー、早く行こうよーー!みんな待ってるよーーー!」
元気いっぱいのミーアに手を引かれてリレーの出発場所になる場所に向かう。
「カザミさん、エルフの皆さん元気ですねー。昼前には終わる予定だったんですけどねー。
まあ、みなさん楽しんでいるみたいなんでいいんですけど。」
「ハハハハ、それは失礼いたしマシタ。実は我々エルフは自動的に身体強化が掛かるようナノデス。
なので、見た目よりも長時間の労働にも耐えられるのデスヨ。」
「なるほど、そういう体質なのですね。えっ、ということはミーアは?」
「もちろん身体強化しているよ!当然じゃん!!」
当然のように話すミーアに俺は脱力しながら納得する。
たしかに常に身体強化している状態であればこれだけ動いても問題無いわけだ。
ということは俺が思うほどエルフのみなさんは疲れを知らないのかもな。
でも身体は疲れていなくても心は疲れるからやっぱり休日は必要だと思う。
だけど毎週この調子じゃ大変だから、やっぱり個人の時間を楽しめる趣味を早く広めなくちゃな。
スタート地点に到着するとみんな準備完了みたい。
横に10列に並んでいる。....?
あれ、俺達を入れても20人ほどじゃなかったっけ。10人一緒に走ったらリレーにならないんじゃ。
「あのー、リレーって5人くらいが続けて走るんですよ。これじゃ2人くらいしか走らないんじゃ。」
「大丈夫です。走り終わったら後ろに並びますから。1人3回走れば6人走ることになりマスヨ。」
ヤムルさんがしたり顔で説明してくれた。
「みんなー走りたがって収集つかないんだってーー。全部の競技がこんな感じーー。」
ミーアも半分あきれ顔なんだけど楽しそうだな。
きっとミーアも一緒に楽しんでいたに違いない。そう絶対だ。
俺は1周だけにしようとしたんだけど、リレーだから他の人に負担が掛かってしまうことになるのでしようがない。
その後、結局俺も身体強化してトラックを10数周することになったのだった。
すっかり日も暮れた閉会式。
「みなさーーん! これで今日の運動会は終わりまーーーす。
楽しんでくれましたかーーーーー?」
「「「「「ハーーーーーイ!!!!」」」」」
こりゃしばらくは毎週運動会になりそうだな。
密かに苦笑するヒロシであった。
翌日から農作業終了後陸上トラックで走る大勢のエルフ達がいた。
みんな次の休日の運動会が楽しみで仕方ないみたいだ。
今回の運動会でエルフの無尽蔵の体力を思い知ったのだが、反面子供と大人では体力差が大きく、途中で子供達が寝てしまっているのが目立った。
次の運動会では大人用にマラソン、子供用にパン食い競争や飴食い競争を追加することにしよう。
週末、今日も早朝まだ暗いうちからトラックにエルフ達が集合している。
もちろんサンドイッチなどの食べ物も準備万端だ。
マラソンに参加するのは大人ばかり10人。事前に作ったマラソンコース総距離30kmを走ってもらう。
一応1周って言ってあるけど、まあ何周走ってくれてもいいよね。みなさん怪我の無いように頑張ってね。
子供達用にはトラックの真ん中にパン食い競争と飴食い競争用の準備をしてある。
こちらはレンさんとルルさんが面倒を見てくれるみたいだ。
一部食いしん坊の大人も混じっているみたいだけど、さっきレンさん達に怒られていたよ。
他の人達は前回同様に徒競走とかをやるみたい。
やっぱり今日の運動会も遅くまで続いたのはお約束だね。
翌日からエルフ達に少し変化があった。どうやらマラソンがお気に召したみたいで農作業後マラソンコースを楽しむ人が数人出てきたみたいだ。
日本でもマラソンを趣味として楽しんでいる愛好家が多いから、これも立派な趣味だよね。
走るエルフ達の目に鬼気迫る迫力があるのは、......まあしようがないかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます