趣味を持ってもらおう

趣味として?マラソンを楽しむ人達、徒競走を楽しむ?人達。


まあ良くも悪くも仕事以外で生活に楽しみを持ってもらうのはいいことだ。


ただ子供達が「毎日飴食い競争を練習したい」と言って聞かないのが目下のレンさん達お母さん連中の悩みになったみたいだな。


「ヒロシー、前みたいにさー、手芸だとかー釣りだとかー教えてあげたらどおー?」


そういえばエレメントスで最初に休日を作った時にもこんな感じだったっけ。


「ミーア、そうだな。早速教えることにしよう。」


あの時もいろんな趣味を持ってもらうために俺が得意な手芸や釣りを説明したり、鍛冶師や騎士のみなさんにお願いして講習を開いてもらったりしたっけ。


あの時は道具を作ったりやり方を説明するのにも苦労したけど、ここは日本だから

、いくらでも購入できるし、インターネットでいつでも検索して研修を受けることも出来る。


ちょっと使い方を説明してやったら、ヤムルやムムなんかが勝手にネット検索をやり始めているしね。


とりあえず手芸セットやミシンだとか大量の布、釣り具を10セット購入。


実はここまで水を引いてきている川には大量の魚が泳いでいて入れ食い状態なのだ。


ただ、俺もミーアも魚を捌けないから、あまり捕ることも無かったんだけど。


「「ヒロシ様、これをやってみたいノデスガ。」」


エルフ達が熱心に見ているネット検索画面をシンブが指を指してひどく興奮している。


「これなんデスカ?カッコいいデス!!!」


画面には黒い装束に身を包み壁を飛び越え、水の上を自在に歩き回る人が映っている。


そう、時代劇の中の忍者だ。特にシンブが興奮しているのは手裏剣やくないを投げている光景だった。


「あれ凄いデス。あれがあれば畑を荒らす鹿でも熊でも簡単に仕留めラレマス!!!」


ここに飛ばされてきたエルフ達は主に農民だったので、あまり武器を使わない。


せいぜいナイフと小さな弓矢程度しか使っていなかったため鹿や熊などの大型動物を仕留めるのは命がけになってしまう。


手裏剣やくないを巧みに使って鮮やかに敵を倒す忍者の姿は彼らにとって眩いばかりに見えているのだろう。


「でもあれはフィクションだからね」って、誰も聞いて無いや。


まあいいか、たしか海外向けの商品としてネットでも販売していたよな。確か刃はついてなかった思うけど、ちょっと研いでやればいいかな。


「わたしはこれをやってみたいのデスガ...」


控えめにムムさんが画面を指さしている。その先に映っていたのは接ぎ木や種の交配で品種改良している女性農学者の姿。


「す、凄いデス!!違う種別の木をつなぐだけでどうして別の種類の果実が出来るのデショウカ???」


「こ、これは、古の言い伝えにある種交だと思いマスッ。」


学者のラシンさんも興奮して唾を飛ばしながらムムさんに説明している。


「ああ、そうですね。あれは接ぎ木って言います。ラシンさんは異種交配についてもご存じなのですね。


違う特性を持つ様々な植物を交配させてそれぞれの良いところを持つ新しい種を作るのです。」


「我らの失われた文明にもその考え方があったようデス。ただ出土する資料があまりに乏しく、また欠落しているため、その真実は閉ざされてイマス。


もし、この世界にその技術があるのであればわたしも勉強したいと思イマス。」


畑チームのムムさんと学者先生のラシンさんは目をウルウルさせてコチラを凝視中。


「わかった、わかりました。確かオンライン教育に『趣味の接ぎ木』っていうのがありますから、それを受講できるようにしておきますね。」


その他にもあーだこーだと様々な話しが飛び交い画面にみんなが釘付けになっている。


中にはサッカーや相撲などに興味を持つ肉体派もいるが、早い時期に皆が自分に興味がある趣味を持ってくれたことは良いことだ。


「皆さーん、だいたい決まったようですね。じゃあこの前も言いましたけど、今後は6日働いたら1日お休みを設けますから、休日に趣味を楽しんでリフレッシュしてくださいねー。」


「「「「はーーーーーーい」」」」


「「「「・・・・・・・」」」」


元気のよい年少組といまいち休日を理解していない大人達にに分かれているみたいだけど、まあしばらくしたら理解してくれると思っておこう。


横にいるミーアにも何人かのエルフが質問しているようで、ミーアが一生懸命説明している。


「7日目毎にお祭りがあるという理解でよろしいのでショウカ?」


「うーん、ちょっと違うけど、まあそんな感じでいいよ。


収穫祭みたいにどんちゃん騒ぎはしないけどね。皆各自で好きなことをして過ごしてもらう日にしてほしいな。」


「.....? よくわかりまセンガ、ヒロシ様のお心のままに。」


「いや、そうじゃなくってさあ..... まあいいか。じゃあカレンダーのこの赤いところ、この日がお休みだからね。」


ヒロシは農業用のスケジュール表代わりにエルフ達に掲示しているカレンダーを指さして休日の予定を教えるのだった。





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