野菜初めての収穫です

「「「「「ええええええーーーーーー!!!」」」」」


野菜を植えてから数日後、エルフ達からどよめきの声が上がってきた。


まだ全ての畑に野菜を植え終わらないうちに最初に植えたレタスから芽が出ていたのである。


しかも結構な成長を遂げている。


ヒロシの言葉を理解したラシンがよく似た作付け条件の野菜を固めて蒔くことにしたのであるが、ヒロシはその畑毎に結界を張り、温度と太陽光の取り入れをコントロールしたのだ。


また必要な水分量を指導して的確に水やりを行わせたため、野菜工場にも負けないくらいの生育条件を作り出してしまったのであった。


「ちょっとやりすぎましたかねえ。でも早く収穫の喜びを味わえるのは良いことですね。」


「ええ、ちょっと早すぎる気もシマスガ。」


勝手に納得しているヒロシの横でラシンが諦めのような声を上げている。


「種植えから収穫まで結構早いですから、皆さん仕事が忙しいかも知れませんが、まあ、こんだけの人数分を補えればいいだけですから、ゆっくりとやっていってください。


もし時間が出来たら、この世界の言葉や学問を覚えるのもありだと思いますよ。」


「我々に教育を受けさせて頂けるのデショウカ?」


「ええ、教育と言ってもオンライン授業ですけどね。いちおうミーアの名前で全教科を受けられるようにしてありますから、何人受けて頂いても大丈夫ですよ。」


「では、わたし達の中から特に教育を受けている数人を選抜させて頂きましてミーア様と一緒にそのオンライン授業を受けさせて頂きたいとオモイマス。」


カザミ村長がラシンを含めレンやムムなど5人ほどを指名している。


「じゃあとりあえず基礎的なところで小学生低学年から受けて頂きましょうか。」


「「「「はい!」」」」


こうして5人のエルフ達はオンライン授業を受けることとなった。


ちなみにこのオンライン授業、人材不足に悩む日本国政府が開発途上国からの人材登用を目的に無料でオンラインサービスを通じて流しているものであり、誰でもいつでも自由に受けることが出来る。


一応受講状況の把握の為に受講者登録が義務付けされているのだが、一応戸籍を持つ?(魔法による不正取得ではあるが)ヒロシとミーアを登録してあるのだ。


受講内容は他国の教育を受けていないものも対象としているため、小学校低学年の内容から一般常識、日本人の基本的な考え方などを教えるレベル、上は大学卒業レベルの高度なものまでラインナップされている。


こうして耕作の空いた時間や夜間等を利用したエルフ達のオンライン学習がスタートしたのだった。




「「「「わーーーーーーー!!!!」」」」


野菜の栽培を始めて2週間後、ついに最初の収穫を迎えることとなった。


肥料と結界による促成栽培のおかげでとんでもなく早い収穫を迎えることになったのだが、エルフ達の顔には驚きと喜びで溢れている。


初めての収穫となる今回の野菜は5種類。全て葉物とハーブ類である。


ただ結構な収穫量があるためヒロシ達とエルフ達では一気に食べきれないため、入れてあるモノの時間停止が可能なヒロシに収納内に数日分を除く分を保管しておくことにした。


「せっかくですから、収穫祭でもやりましょう!!!


まあこれからは数日おきに何らかの野菜や果物が収穫できると思いますが、まあせっかくのお祝いですしね。


明日は一日仕事をお休みにしてお祭りでもしますかね。」


「「「「「「????????」」」」」」


そもそも休みという概念の無いエルフ達のこと、ヒロシの言葉が今一つ理解できない。


「あーそうか、休日を知らないんですね。エレメントスの時と一緒か!


じゃあ、ミーア。運動会でもやりますかね。」


「ヒロシー、賛成。運動会をやろうー。レンー、ムムー、ヤムルー、シンブー手伝ってー!」


早速ミーアが4人を引き連れて家の中に入っていく。


どうやら、運動会の映像を見せてどんなものか教えるようだ。


やがて家の中からいくつかの驚きの声と楽しそうな笑い声が聞こえだした。



しばらくして出てきた5人の顔には運動会を何としても実施しようと決意した真剣なまなざしが見えるのだった。




翌日、朝早くからヒロシとミーアが起き出す。


既に家にはレンとムムが到着していた。


「レンさん、ムムさん今日は休日なのに準備に付き合わせてごめんね。」


「ヒロシ様、何をおっしゃいマス、そうでなくても今日はわたくし達の為に祭りを開いて頂けルトカ。


有難いことデスシ、よろこんでご協力させて頂きマス。」


「ありがとうございます。じゃあレンさん、ムムさん、早速ですが木魔法で外に大きなテーブルをいくつかと椅子を人数分用意して頂けますか。」


「わかりました。ヤムルとシンブに作らせマス。


わたし達は食事の準備をさせて頂きマスネ。」


ムムさんが外に出て手持無沙汰にしていたヤムルとシンブに指示を出している。


仕事を割り当てられた2人は嬉しそうだ。


「さて、じゃあ肉料理と収穫した葉物野菜は添え合わせとサラダにしていきましょうか。レンさん、ムムさん、補助お願いしますね。」


「「ハイ!!!!」」



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