2021/05/24:小説の骨を作る。――――――――――――――――#創作論

 小説を書く上ではじめに何を考えようか。初めに考えるべきはコンセプトではないだろうか。最終的に変わってもいいが、何かとっかかりが無いと思考が始まらない。今回一例として、ふるきよき「勇者と魔王」で行く。此処から詳細な設定を詰めていこう。


 先ずは「勇者」及び「魔王」をしっかり定義することから始めよう。執筆コストを下げたいので魔王の設定は昨日の物を流用する。以下引用。


「山岳地帯にすむ魔族というのを考えてみた。人間は魔法を使える人が限られまた個々人の魔力量も乏しいので水場の近くに住んでいる。そんな中生まれた魔力量が膨大な魔族は、貴重な魔力源として人間に搾取されていた。しかしとある魔族が立ち上がり、同志と共に人の手が及ばない山岳地帯で建国した。水源やエネルギー源に乏しい山岳地帯は未開の地であったが、自身の持つ膨大な魔力によって解決した。立地の関係で交流の少ないその地はいつしか魔族領と呼ばれ、人間は魔族の王、魔王を恐れるようになった。なお魔族領は山岳地帯の鉱物資源と持ち前の魔法で人知れず発展しているのであった。」


 この設定を元に、重要な要素を列挙する。


・知的生命体は人間と魔族に分けられ、それは魔力量の違いである。

・魔族の国は山岳地帯にあり、魔法を利用して生活している。

・人間と魔族には交流が無い。

・魔族の方が技術力が上。


 交流が無いということを起点に勇者を考える。奇を衒わず、勇者は人間側とする。しかし交流の無さから、勇者には魔王、ひいては魔族の知識が殆どないと予想できる。では勇者はなぜ戦いに来るのだろう。近代の戦争を参考にすると、領地や資源の拡大が戦争の主な理由だ。よって人間側が攻める理由は山岳地帯の資源にあるとしよう。または国境を接している国が魔族を過度に恐れた所為か。


 さて、実際にストーリーを考えてみる。奇を衒わず、勇者視点で描こう。始まり方は普通の「勇者と魔王」のテンプレート通りでいいだろう。強い騎士がどこかの国の王様に招集されて、はした金と共に旅立つ。そして魔法がある所為でやたら強い野生動物を倒しながら、魔族領の魔王城を目指す。そしてたどり着いた魔族の国は、人間の技術が陳腐に見えるほど、発展していたのであった。


 ここまでが第一話だろう。初めの方はテンプレートを忠実に踏襲することで人間側の世界観を表現し、最後でテンプレートとは明確に違うとハッキリさせる。こうするとギャップが生まれるし、今後のストーリーが読めなくなる。


 入りはここで十分だ。なら次は終わり方を考える必要がある。


「勇者が戦うのをやめた。平和エンド。」


 これは面白くない。なぜなら第一話の次の一行で終われるからだ。では何が必要なのか、それはイベントだ。第一話の内容にあった「魔族領に足を踏み入れた」がイベントである。こういったイベントを完結までに幾つか入れなければならない。


 一つ考えるべきは全体の長さだ。短編(1万字)か長編(10万字)か。今回は短編で考える。短編なら考えるイベントは一つで良いだろう。つまり合計で二つだ。「魔族領に足を踏み入れた」から滑らかに思い付く内容は、「街を観光する」「技術力に驚く」「衛生面に驚く」などだが、簡単に予想がつくこれらはイベント足り得ない。


 「魔王に謁見する」というイベントを採用しよう。メタ読みが機能する程度の奇なので不安になるものの、没頭している読者は創作の外(メタ)を考えるリソースが無い。もしメタ読みしてしまっているなら集中できてない可能性がある。閑話休題。イベントが決定したら、それぞれのイベント同士を連結するストーリーを考える。この物語の魔王は正しく国王なので、一般人は謁見できない。よって勇者は特殊でなければならない。例えば犯罪を犯してしまうだとか。今回の設定に「魔族は人間の突然変異である」という設定を組み込むと、「人間の中で強い勇者」=「事実上の魔族」という設定を勇者に加えることが出来るので、これを勇者の特殊性とする。


 勇者の特殊性をさらに深くする。魔族は人間と交流が無いので、血統に多様性が無い。ここで魔力の遺伝子なんて言う設定を加えて、勇者が魔族領にいない遺伝子を持っていることが何らかの検査によって特定され、魔王直々に尋問されるなんてどうだろう。そのあとは恋愛に発展しても良いし、人間と魔族の調和に走ってもいい。


 ここで考えを止めるが、物語の結びは次の物語が始まりそうなイベントを想起するといいと思う。勇者が率先して魔族領から人間領に通じる道を整備していくイベントを考えると面白い。人間の持つ偏見をどうするか、魔族の技術力が世界にどう影響を及ぼしていくか、そういった未来を想像できる。


 以上の考え方でストーリーの大枠、小説の骨を考えると、小説を書きやすいと思う。完結まで書いた事の無いやつが何を言ってるんだとは思うが、大きく外しているとは思えない。プロットを考えろと言われると気構えてしまうが、これくらい具体的に示されていればやってみようと思わないだろうか。


――――――


 短編の小説を書きたくなってきた。この小説?を書くのも面白いけど、考えをつらつらと述べるだけでは風景描写であったり感情描写であったりが身に付かない。


「小説を真面目に書こうと思うと、この投稿は一時的にでも止めないとできないかなぁ。」


 完璧主義の気がある私は一度始めたことを一旦やめるのが苦手だ。一日でも欠けると幾らでも休んでいい気がしてくるのだ。


「……有言実行なら、ちゃんと再開できるかな。」


 短編書くから一週間投稿止めます。……と、本当に書き始める時には先にそう言ってから書き始めよう。

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