八月十五日
私はおばあちゃんを探した。
しかし、どこにもいない。
でも、この丘にいるはずだ。いるんだと、私は強く分かる。何故だかわからないけれど、いてくれる気がするのだ。私はとにかく、この広大な丘で探し続けた。
どこにいるの、おばあちゃん……会いたいよ。
気が付けば、夜を越えて朝になっていた。朝焼けが眩しく、とても綺麗だ。
朝日が差し込み、昼間とは違いピカピカと光る海が見えた。
「おばあちゃん」
もう会えないのかな。
そう思った時、目の前に、ふわりとおばあちゃんが現れた。朝日を浴びて、輝くおばあが現れたのだ。
「おばあちゃん!探したよ!」
輝きながらも、うっすらとしていて、今にも消えそうなおばあちゃんは言った。
「わたしゃ産まれてくるあんたを楽しみにしておった。でも、産まれてからのあんたを見れんかった。過ごしたい時間がいっぱいあったんじゃ!」
「おばあちゃん!私来るから!誕生日も、お盆も!約束する!だから、まだ、消えないで!お願い!お願い、おばあちゃん……!」
「逢いに来ておくれ」
おばあちゃんは、そう言葉を残して消えた。最後、柔らかい朝の光を浴びながら、微笑んでいたようにも見えた。
「大好きだよ、おばあちゃん……」
「ありがとう」
私は家族から温かい気持ちを沢山貰って、生きてきたんだ。知らないところでも、たくさんたくさん。
こんな素敵な人たちに囲まれて、愛されて育ったんだ。
この魔法も、この村も、私自身も。ずっと大切にして生きていこう。
一日一日、一瞬一瞬を大切に。
私は皆のことも、この魔法も、この村も、全部愛している。
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