厨二の頃の夢! Army in School Land!

 少女が授業を受けていた。

 しかし、顔や手足――素肌の露出したところは全てが黒く、目や鼻、口の判別すらつかない。これでは『影絵少女』とでも呼ぶしかないだろう。

 そして俺やかしらの通う『ちばらぎ県立高校』の制服を着ている。どうやら同校生らしい。

 お供とばかりに未確認動物UMAを肩へ乗せている。

 ……やはり影絵化していて細かなところまでは分からない。ただ一つ言えるのは、絶対に一般的な生物ではありえないことか。

 だが、そんなの些事とばかりに物語は進んでいく!

 なんと授業中な教室のドアを蹴破るようにして――


 武装集団が雪崩れ込んできたからだ!


 嗚呼、これは『授業中にテロリストが乱入』!?

「静かにしろ、ガキ共め! 我々は『いかなる実在の主義主張とも関りの無い解放軍』だ!」

「ええ!! 『いかなる実在の主義主張とも関りの無い解放軍』ですって!?」

「知ってるのかい、眼鏡っ子ちゃん!」

 ……『影絵少女』の連れた未確認動物UMAが人語を口にしてるけれど、いいのか? それ?

 また解説役を買って出た眼鏡少女も、やはり影絵のようだったけれど……それよりな雰囲気がモヤっとさせてくる。

 おそらく『ゆりっぺ』だとか『さきっぺ』、『ペッペッペッ・ソーランアレマ』などと呼ばれてる。もう違いない、賭けても良いぐらいだ。


 そしてカメラは、いつの間にか人目のつかない校舎裏へ移動した『影絵少女』と未確認動物UMAに切り替わる。……お前ら、いまさっき教室にいたよな?

「『いかなる実在の主義主張とも関りの無い解放軍』をやっつけないと皆が!」

「でも、どうやって……私は普通の女の子に過ぎないのに……」

 いまさらなことを口にするけれど、かえって胡散臭いぐらいだ。不条理ものなら開き直って、非常識に徹するべきだろう!

 それは然りとばかりに物語は応える! さらなる異常事態で以て!


「力が……力が欲しいか?」

 

 見れば塀の上にハンプティ・ダンプティ卵男が! しかし、その肌色は血のように紅く、顔も苦悶に満ちて!!

「駄目だ、アーミー! そいつと契約しちゃ!!」

「……げる。願いを叶えてよ、ハンプティ・ダンプティ!」

 血の涙を流しながら、塀から落ちた卵男は割れてしまう。もう元へは戻らない!


 極彩色に輝く異空間?へ転移した『影絵少女』から制服が千切れ跳んでいく。……まあ全裸?となっても、真っ黒な影絵状態のままだが。

 しかし、そんな『影絵少女』を舐め回すようにカメラは回る。執拗な感じで!

 ニーソ、スコート、ビスチェ、長手袋と……『影絵少女』は不思議なドレスに纏われていく。まるで服自身に意思でもあるかのようだ。

 最後に、やけに襟の大きなマント。それに巨大な――人の身長と同じくらい長い鋏を手にし、どうやら変身は終わった。

「クイーン・アーミーの爆誕だ!」

「首をチョン切っておしまいィィィィィィィィィ!」

 そう少女と未確認動物UMAが決めたところでカメラは止まり、血管切れそうな高音のレジェンド・ナレーターがサブ・タイトルを叫びあげる。

「第二章! 『厨二の頃の夢! Army in School Land!』」



 さすがに二回目ともなれば絶叫は我慢できた。跳ね起きた時に漏れたのも、深い溜息だけだ。

 次は謎のテロリスト集団と魔法女王が相手か。……かしら達、ちゃんと世界を救ってくれるんだろうな?



 書き貯め休み&『中世ヨーロッパそっくりな世界で銀髪ショタに転生!? 色々疑問は尽きないけど幸運に感謝しつつ人生やり直し! でも、やっぱり昔は何かと不便だったりで……ちょっとだけ現代科学チートを使わざるを得ない!?』の再開で、こちらはお休みとなります!


 再開日は未定ですが、第二章が書きあがったら、また!

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なるへそ。裏――伝奇的セカイ系青春冒険活劇RPGのモブに転生しちゃったので、主人公を助けるべく暗躍することにした curuss @curuss

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