第1話

ガバッ

時計が示すのは午前5時52分

目覚ましより8分早い起床

「はぁ…またあの夢か…」

思わずそう呟く

目覚ましの音で起きたのは何日前だろうか


のそのそとベットから出て身支度を整える

親が起きる前に飯も食わず家を出る

クソみたいな一日がまた今日も始まった


家を出るのが早い分普通に行けば学校に着くのも早くなってしまう

やることなんて何もないのに

だからのろのろと歩いて行く

今までは電車通学だった

正直歩きはめんどくさい

だが好都合なのは人があまりいないこと

電車の中では嫌でも見られる、人の視線を感じる

日本人の嫌な国民性の1つだ

自分と少しでも違うとこれでもかと視線を浴びせてくる

きゃあきゃあ騒ぐ女子高生と思われる奴らの声

「あの人かっこよくない??」

「声かけちゃう??LI○E交換してくれるかな??」

「あんたならいけるよ〜!!」

「ちょっとやめてよぉ聞こえちゃうって」

聞こえてるっつーの

こんなことが続き嫌気がさしていたころだ

思い出すだけで頭が痛い

歩きでも見られるものは見られるが

それも電車通学のときと比べれば大したことはない


ぐぅぅぅ

そうだまだ飯を食っていなかった

いつものコンビニに行き朝飯を買う

ふとレジの方に目をやると

いつもこの時間にいるバイトのおじさんと目が合う

あぁ…俺と同じ目をしてら

なんの目的もない

人生に価値も見出だせずただそこに存在しているだけ

まるで俺の将来を可視化したようだ

いたたまれない気持ちになり

俺は朝飯を買い、早足で流れるようにコンビニをあとにした

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