第2話

キーンコーンカーンコーン

ちょうど学校の正門をくぐったときにチャイムがなった

SHRの始まりのチャイムだ

「やっべ本鈴なっちまった」

そう言いながら俺の横を駆け抜けていく男子生徒

俺はというとそれを眺めながらのろのろと歩いているだけ

走りもしない焦りもしない

学校に間に合うつもりなど、はなからない

学校やら教師やらクラスメイトなんてものにはとうの昔に失望している

そんな奴らのために急ぐ理由なんて俺にはない


下駄箱でのんびりと靴を履き替えていると

俺が高校で唯一の友達と呼べる存在「野田和希」がこっちに向かって走ってくるのが見えた

「はぁ…はぁ…またお前遅刻じゃん」

「どっかの誰かさんみたいに真面目じゃなくてすいやせんね」

「俺も真面目なんかじゃねぇけどな…

実際ショートサボってるわけだし

それよりお前1限どうすんだよ

さすがのお前でも授業日数やばいんじゃ…」

「まだ飯食ってねぇ」

「は??」

「まだ飯食ってねぇんだよ

さっきコンビニで買ったやつ」

「いやそんなこと聞いてねぇよ

…つまり飯食うために授業サボりますってか??」

「大正解」

「はぁ…これだから天下の八雲様は…

 留年しても知らねぇからな

 あと松坂Tが職員室来いってさ

 お呼び出しくらってんじゃねぇかw」

「うるせぇ…誰が行くかあんなじじぃんとこ」

「行かねぇと居残りだけどな〜w」

「だっっる…かずきてめぇ代わりに行ってこい」

「は??やだわ」

キーンコーンカーンコーン

「これなんのチャイムだ??まさか本鈴⁉

 ちょっもう俺行くわまた後でな」

バタバタバタ


「ふあぁぁっ…ねっみ〜飯食お」

俺は相変わらずのろのろと歩いて屋上に向かった


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る