インヘリテンス

図鑑みたいなところが面白いです。文章も読みやすいです＾＾

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（0文字）

　主人公の考古学者は、とある孤島で野生児を発見しました。ただの野生児ではなく、人間離れした力を持つ恐ろしい個体でした。

　ただし考古学者は、この野生児がどれだけの身体能力を持っているのか確認する前に、彼のことを気に入ってしまい、人里に連れ帰ることになります。

　これが悲劇の始まりでした。

　力を持て余した野生児は、人間界の悪意に触れたことで、人を殺すことになってしまうのです。

　たとえ相手が悪人であっても、状況と前置きが成立しなければ、殺人として罪を問われることになります。

　そんなことをつい最近まで孤島で暮らしていた個体に理解できるはずがありません。

　また野生児にも理解するつ…続きを読む

主人公の少年テツが、作中もっとも大きな「謎」である。
彼は物凄く強いのだが、それはラノベ的な最強ではなく、畏怖の念を感じさせるような強さなのだ。
しかもたった半年で言葉を覚え、大人向けの本が読めるなど、おそらく頭脳も天才に近いはず。
だが彼の心は、ただ楽しいこと面白いことに反応する幼児のよう(実際、幼児と言って差し支えない年齢なのだが)。
だからこそその存在は大変危うく見える。
一歩間違えれば、人類の脅威となるかも知れない恐ろしさをはらんでいるのだ。

だが物語の狂言回しともいえる考古学者アンジは、ある意味常識的というか、人が良すぎて鈍感というか、テツの異常性に気付かず（気付きたくないのか？…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（208文字）

　考古学者アンジと「純真無垢」な少年テツを軸に話が進んでいくのですが、どちらかというと少年のテツ側に比重があるかなって感じの物語です。

　とはいえ、私は考古学者を軸にした話が大好きでして、どことなく「マスターキートン」という漫画みたいな雰囲気があって、私は好きです。

　なかなか明らかにならない少年の謎。そして、その謎が物語の核心であるという確信。この「ミステリー」的な要素、たまりません。　

謎の少年テツと、考古学者アンジが体験する冒険ストリー。
テツはその生い立ちから謎で、アンジが注ぐ愛情によって少しずつ
人の温かみを知り、そして成長していく。

タイトルのインヘリテンス（inheritance：継承？）に込められた
意味も含め、物語の中でのテツの成長と、苦慮しながらも温かく
彼を見守るアンジの親心から目が離せない秀作です。

「少年」の秘密が明かされる様で明かされない所が良い。

物語の先がつい気になってしまう小気味よい軽快なテンポがスクロールを早めてしまった。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（192文字）