第2話昼休み

二年に進級し、ある日の昼休み。

放課後にはレッスンがなく、休息できる一日だ。

最近、レコーディングやダンスのレッスンが続いており、まともに休めずにいた。

そんなめまぐるしく忙しいアイドル活動も多少慣れてきた。最初の頃よりはだ。

相方である涼梨とも息が合うようになっている。

腹を割って話せるとまではいっていない......けれど、順調にアイドル活動をこなせているはず、だ。

教室を抜け、一人になれる場所である中庭のベンチに腰かけ、昼食を摂る俺。

早朝に手作りしたこぶりのロールキャベツを口に運び、咀嚼していると肩を叩かれる。

肩を叩いてきた人物は、無言で隣に座り、購買のメロンパンの袋を開けて、メロンパンにかじりついた。

紙パックのレモンティーで流し込み、弁当箱に視線を向けて、口を開く。

「相変わらず美味しそうだね。あんたの手作り弁当って。まあ、普通に美味しいけど。近付いてくる女子に料理を振る舞ってたら青春を謳歌してたんじゃない、今頃。そこそこイケてる容姿と相俟って料理が上手いのにモテないって」

「一言二言余計だよ、本当に。何でいつも喧嘩吹っ掛けてくるんだよ、意味わかんねぇ」

隣に座る涼梨は、一方的にそんなことを言い、メロンパンを頬張る。

悪びれず、澄ました表情の涼梨にムカつく。

「わざわざ気に食わない俺といることないだろ。いるだろ、が。と話してれば良いんじゃないの」

お返しというように皮肉を言う俺。

「別に。一方的に好かれてるだけで、合わないし。どこで何をしてようがあんたに口出しされたくない......けど、......

中学の頃の話題を打ち明けたときのような低い声音の後、照れたように呟いた最後の言葉セリフにいつもの返しができない。

「......」

涼梨は今なんて言った?

は、はあ?

彼女は、メロンパンを食べ終え、無言のまま校舎にもどっていく。

「なっなに言ってんだよ、あいつ......」

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