必要不可欠であり、嫌いなあいつ

第1話プロローグ月のようなあいつは気に入らない

月は好きだ。

けれど、月のような彼女（あいつ）は嫌いだ。

彼女（あいつ）の他人を見下す態度、負けず嫌い、芯を曲げない頑固なとこ──嫌いなことを挙げるとキリがない。しかし、一年以上共に活動してきて、彼女の存在が現在（いま）の俺に良い影響を与えてくれたことに気付かせてくれた。

夜空に浮かぶ一際大きく輝き続ける月は好きだ。暗闇の中、小さいながらも光を放ち、懸命に輝く星も好きだ。

現在（いま）の俺がなりたい存在（ひと）は挙げればキリがない。だけど、唯一言えることは暗闇に呑まれず、光輝く月のような存在（にんげん）を目指している。

癪ではあるが、彼女（あいつ）──涼梨麻里奈のようになりたいと思う。

男女二人組アイドルユニット『Dreamofthesummit』は、神影翔と涼梨麻里奈の二人、俺達だからこそイキイキと活動できている。

歌って、踊って、喋って、練習に励み、二人で舞台に立ち、スポットライトを浴びている。

喧嘩は絶えないけれど、涼梨と上を目指していく今が──これからが楽しくて仕方ない神影翔。

暗闇に引きずり込まれそうな俺を涼梨が手を差し伸べ、引きずり上げてくれた。

まるで月のような輝きを放ちながら──

俺は、そんな涼梨と活動出来ていることに幸せだと感じることが度々ある。

アンチをぶっ飛ばす勢いで、これからを生きていく。

相方の涼梨麻里奈と共に──