匿名性のアイ

ここは、瞳の色で人間の価値が決まる世界。この世界では魔法を使えることが当然とされ、その魔法の種類は瞳の色で決まっている。しかし黒の瞳の持ち主は“黒目”と呼ばれ、魔法が使えない“異人”としての扱いを受ける運命にあった。

そんな“黒目”の天才ピアニスト〈クロウ〉は、楽屋から逃げ出した先で不穏な連中に追われる内に、路地裏に迷いこむ。そこで彼を救ったのは、人形のような少女を連れた、美しい犯罪者であった。

少女〈アリス〉は、魔法の才が特に優れているとされる純彩度の瞳を2色持ち、両親や周囲に神様のように崇められた存在であった。そして大犯罪者を名乗る〈イヴ〉は、あらゆる魔法を使いこなし魔法以上の超常的な力を使いこなすと言われる、幻のオーロラの瞳を持っている。

自称「世紀の大泥棒」を名乗る指名手配犯の…続きを読む