Cat Land (猫の国)

第22話 知らせが来る

 大変だ!


「うるさい! 急に叫ぶなー!」


 むむむ、つれないねブレサルくん。

 もっと優しくしてよ。


「姿も見えない奴に優しくなんてできるかよー」


 おお、確かにそうだ。

 知らないおじさんにはついていっちゃダメだもんな。


「で、なにが大変なんだよ?」


 ああ、それがね。

 前回の更新から二年も経ってる!!!


「更新? なんの???」


 この長編の!!!

 ……いや、そんなこと言ってもわからんか。


「うん、わからん」


 じゃあ、この話はここまで。

 次は君のお母さんのかわいさについて……。


「大変!!!」


 おや?

 向こうでもなにか起きているようだ。

 行ってごらん、ブレサル。


「言われなくても!」


――――――――――


「どうしたの、お母さん!」


 ブレサルが玄関に走っていくと、そこにはポストの前で一枚の手紙を持って驚いているお母さん……シャロールがいた。


「ちょ、ちょっとお父さん呼んできて!」


 てなわけで、ブレサルはギルド裏の広場で素振りをしているお父さん……佐藤を呼びに行った。


 さてさて、今度はこの家族になにが起きるのか。

 たのしみたのしみ。


「なんかお前、悪者みたいだな」


 ひどい……!


――――――――――


「で、なんて書いてあったのじゃ?」


「知りたいー」


 いつのまにか、魔王とファイウルも集まり、みんなでテーブルを囲んでいる。


「あ、あのね」


 一同をぐるりと見回したシャロールは、手紙に目を落とす。


「私の……おじいちゃんが危篤なんだって……」


 危篤!?


「危篤ってなんだ?」


 すっごく具合が悪いってことだよ。


「危篤なのはわかったが……僕でさえおじいちゃんのことは初めて聞いたぞ」

「説明してくれないか、シャロール?」


「うん。実はね、私のお父さんは猫の国出身なの」


 猫の国?


「猫の国は猫だけの国で、人間が入ることは禁止されているの。だから、その国がどこにあるかも誰にも知られていないの」


「でも……お父さんは人間も混じってるよな?」


 シャロールのお父さん……ヒュイさんにはたしかに猫耳があった。

 だが、人間でもある。


「そうなの。猫の中には何年も生きて、変身できるようになる猫もいてね」


 日本でいう猫又かな?


「お父さんのお父さん、つまりおじいちゃんが人間に変身して人間の世界に遊びに行ったときに一目ぼれした人間が……」


「おばあちゃんってことか」


「そう。だから、お父さんや私は猫と人間のハーフなんだよ」


 おお~、なるほど。

 明かされる獣人の謎だな。


「で、話が逸れてしまったが、その猫の国に行かなきゃいけないよな」


「うん。おじいちゃんに会いに行かなきゃ!」


「よし! そうと決まれば、出発だ!! ブレサル、着替えをまとめて!」


「はーーい!!」


 佐藤は立ち上がり、タンスから数日分の服を出してリュックに詰め始めた。


「あ、待って! まだ話が……」


「続きは道中で聞くよ! 猫の国、行くのに時間かかるだろ?」


「……うん。それじゃあ、私も準備してくる!」


 さぁ、忙しくなってまいりました。

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