10.自分の文章の好きなところと嫌いなところは?
えー、嫌いです。自分の文章。
いつも「下手クソ」「才能ゼロ」「恥さらし」「早く筆を折れ」と思いながら書いています。
唯一、書き上げた瞬間だけ「世界一面白いぜ」って思います。思いますよ。でも次の日には元通り。最低最悪。もう二度と小説なんて書こうとするなって。おこがましいにも程があるだろってなります。この感覚って僕だけなんですかね? あまり物書き仲間が周りにいないのでよく分からないのですが。
書いている感触としては「文章は才能で書く」というのが正直な感想ですね。あくまで皮膚感覚ですが、文章って凡人がどんなに努力しても五十五点以上にはならないんですよ。
それでもそれなりに小説を書いてきたし、書くことができているのは、ひとえに言葉というものの懐の深さのお陰だと思っています。
たとえば、ニュースキャスターの読む原稿って芸術的である必要はないわけですよ。事実がそのまま伝わればいいわけで。いつどこでで何がどうだったかを正確に伝えられればニュースとしては成立するわけですよ。
僕の文章はそれに情緒を少し足して、情報を少し間引いて、場面転換で誤魔化して、さも小説でございという体裁を保っているだけなんですよ。文章の上手さだけで言えば、アベレージで四〇点ぐらい。センスも才能も、努力する根性もない奴が小説の最後尾にギリギリしがみついている、というのが実情なんだと思います。
ただ、五十五点程度の文章だけど本屋さんに並んでいる本は結構ある(ただそれは、文章の中庸さを内容の面白さがカバーしていることが多い)ので、みんな僕の小説でもうまいこと騙されてくれたらいいなって感じですね。
もしかしたらすごくネガティブなことを書いているように見えるかもしれませんが、僕自身はとてもさっぱりしています。今後も小説は書くでしょうし、その時はまた四〇点の文章をやりくりしながら、自分のできることをできるだけきちんとやっていきたいなあと思っています。
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