8.アイデアをどうやってストーリーに仕立てる?
これは前述したアイデアの適性によりますね。
ショートショート集のトップバッター『コックリさん』はワンアイデアで書き上げています。自分の中でも良い部類のアイデアだったので、特に捻らず素直にそのまま書きました。料理で言えば素揚げして塩振って熱いうちに出す、みたいな感じです。五分ほどで読めるのでよろしければ是非。
同じくショートショート集収録の『画家になりたかったサイクロプス』は「サイクロプスは単眼だから遠近感がわからないかも?」というアイデアが起点ですが、これだけでは小説になりませんでした。あとひとつふたつとアイデアを足していくことで小説にまで仕上げました。料理だと、揚げてから野菜の千切りと酢の効いたタレに漬けて味を染み込ませる、といった感じでしょうか。
アイデアの転がしだけで言えば『銃拳使いと自動人形』が、自分の作品の中ではもっとも手間がかかっています。「剣を飲み込む少女」という小さなアイデアから連想した「飲み込むことで魔剣の魔力を腕に宿す」という次のアイデアによりバトルものとして構想を練り始めたものの、「この世界ではすべての刃物が役に立たない」という大きなアイデアが導き出されたことで急遽ミステリーにジャンルを変更。登場人物も増やし、三人称も捨て、一人称の切り替えという変則的なやり方で物語を紡いでいます。柔らかくなるまで煮込んだ牛すじどて煮か燻製ポテトサラダぐらいには手間暇かけたような気がします。
そんなわけで、アイデアがストーリーになる過程は多種多様で、方程式みたいなものはありません。僕の場合は「軸となるアイデアを一番面白く魅せる方法を探りながら、必要になった他のアイデアを付け足していく」ことが多いかなと思います。
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