第29話 逆さまになった者の戯言

 適当に生きてやるつもりだった。


 産まれてきたことに、生きる事に……

 周りに上手く適応して、

 周りに身を委ねて、上手く適合できたつもりだった……


 やりたくない事を一生懸命やって、

 耐え難い事を必死で我慢して……

 そうしていれば、僕なんて人間でも生きられるのだと……


 こうして、僕は生きている……


 もしかしたら、それは正解で正しい世界の見方だったのかもしれない……



 君は何のために生きてるの?


 そう、他人ぼくが僕に問いかける。



 生きる為、毎日やりたくない事を続け、耐え難い屈辱の日々を繰り返し、それだけのための自分いのちにそこまでする理由があるのだろうか?


 そう、考えた時、世界がくるりとひっくり返って見えた。


 見えていたはずのものが見えなくて……

 見えないふりをしていた物が沢山あった。


 ひっくり返ったその世界で、僕は足に巻きついたロープでなんとかその場に居る。


 ロープを切れば真っ逆さま、きっと二度とは這い上がれない。


 ロープにしがみ付き、平穏じごくに戻るか、後先考えずに落ちるとこまで堕ちてみるか。



 きっと、どちらも正解ふせいかい……


 

 世界は不快なモノで溢れている。

 そう、世界にとって僕は不快。


 それは、永遠に適応しない。


 それは、全部泣言ざれごとだよ。

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