第12話 否定し否定される者の戯言

 生きることは辛い。


 でも、死ぬことが怖い。


 実に在り来たりな言葉だ。



 なぜ……人は生きるのか僕は理解ができない。


 この人生という時間に置いて……


 僕にとって生きるための苦痛は、


 生きている事で手に入る幸福にあまりにも釣り合いが取れない。


 それを放棄させないのは死に対する矛盾した恐怖だけ。



 良いことなんてめったにない。


 それらしいものを見つけ手を伸ばすと、無数の腕が僕の目の前を通り過ぎあっという間にそれは何処かに消えてしまう。



 無くすものなんてない……


 だったら怖いものなんてないんじゃないのか?


 そんな風に思っているのかい?



 逆だぜ?

 

 守るものが無い奴の方が案外臆病なんだ。


 守るものが無いんだ。


 だったら……歯向かう理由もそこにはない。



 最高に腹糞悪い戯言だろ?



 そうやって、傷を舐めあって生きていろ。


 傷が癒された気でいればいい。



 世界に蔓延る綺麗言……僕の戯言で否定する。



 僕はこの世界で自分という存在を否定し肯定する。


 存在の意味の無い僕を否定される事で認識させる。



 だから、今日も僕は生きている。

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