26話 旧知
なんだこいつ
「あっいたいた、どうもです友莉先輩!」
「げっ、エリカ」
友好的な笑みを浮かべるエリカとかいうやつとは真逆に、あからさまなしかめっ面を浮かべる友莉。
「彩芽先輩もお久しぶりです」
「う、うん。久しぶり、エリカちゃん。そこ座ってくれていいよ」
彩芽はというとなぜか気まずそうにしている。
坂本先生はもう姿消しとるし…仕事が残っているのだろうが相変わらずメリハリのある人だ。
「ありがとうございます、失礼しますね」
いやいや色々ツッコミたいが、とりあえずはこいつの風貌だよな。
きれいな銀色の長髪、というより光沢のある白って感じだ。肌も透き通るように白くて、瞳は猫のように丸く半透明、でもどこか影のあるような黒がかった青色。
毎度、人の容姿を評論すんの我ながらきっついな。
それよりもなんだろうこの感情…これは…
「改めまして、一年の
「腹立つ」
「原田津先輩ですか初めまして…えっ腹立つ?!」
「俺は浅岡沙星ですよろしく。二人とは知り合いなのか」
「ちょっとそれよりもさっきの発言ですよっ!」
「友莉、頼む」
恵理花改め鈴木の主張はさておいて、友莉に視線を向け説明するよう促す。
「え、あぁ。エリカは中学ん時の部活の後輩、えっとロシア人のクォーター…だったよね」
「なるほど、通りで」
ならこいつの銀髪はただのキャラ付けじゃないわけか、一安心だな。
「通りで美人さんだなーって思ったんですか?」
あかん、うざい。
「半分正解だな鈴木とやら、もう半分は通りで腹立つ顔立ちだなと思ったんだよ」
「無礼を承知でなんでそう思ったか当ててもいいですか?」
「あぁ、いいぞ」
「先輩って控えめに言ってほんっっっっっとに可愛くない顔してるから私が恨めしいのではないですか?」
「はい100点。後、控えめに言う際に強調表現は使わないから覚えとけ」
俺が負け惜しみを言い放つと、友莉は少し驚いた様子で鈴木に言った。
「珍しいね、エリカが初対面の人相手にここまで踏み込んでんの。いつもならもっと慎ましやかじゃない?」
「言われてみれば…。なんか友莉先輩と同じで何言われてもどうでもよさそぉ~な雰囲気があるからでしょうか」
「なんでこいつと…」と友莉も思ったのだろうが、あながち間違っていないのでこれには二人もだんまり。
「えっと、エリカちゃんはどうしてお助け部に?」
彩芽は恐る恐る鈴木に尋ねる。
「そうでした、今回はお願いがあってここに来たんです!」
「して内容は?」
言うと、鈴木は鬼気迫る思いをブルーブラックの瞳に宿して、机の上で手を組んだ。
極めて深刻な事態であることを悟った俺は思わず唾を飲み…
「実は…」
「―――実は…?」
「ゲームをやって欲しいんです!」
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