黒霧の少女18


あ、危ねぇ!


まぐれか?な、な、何でもいい。避け続けろ。


空は一時も燈火から目を離さず、相手の魔法発動と、共に転移し続ける。


雷の閃光が、一直線に複数飛んでくる。そのどれもが一撃必殺の威力を持ち、さっきまでの電撃とは比べ物にならない速度で、向かってくる。


最速の勢いで、転移を多用しても、少し感電する。もう、この場所全てが磁場になっていた。


「幸い、魔力の心配はないが……このままはジリ貧だな」


攻撃の隙がない、攻撃は最大の防御とは、よく言ったものだ。


魔法に対して魔法を使ってちゃまず、勝てないな。ならば、奇を衒うしかない。


空は霊力で、札を作り出す。


電撃が目の前に迫る。


空は札を目の前の電撃目掛け投け、祝詞を唱える。


「高天原にたかあまのはに神留坐すかむづまります


神漏岐かむろぎ神漏美のかむろみの


命以ちてみこともちて


皇親神伊邪那岐の大神すめみおやかむいざなぎのおほかみ


筑紫つくし日向のひむかの橘のたちばなの小門のおどの


阿波岐原にあわぎはらに


禊祓ひ給ふ時にみそぎはらいたまうときに


生坐せるあれませる


祓戸の大神等はらえどのおおかみたち


諸々禍事罪穢をもろもろまがごとつみけがれを


祓へ給ひ清め給ふとはらいたまえきよめたまうと


申す事の由をもうすことのよしを


天つ神あまつかみ地つ神くにつかみ


八百万神等共にやおよろづのかみたちともに


聞食せときこしめせと


畏み畏みも白す」


その札は電撃に当たり、電撃を四方八方に散らした。


「何とかなるもんだな、陰陽術。これで、細い勝ち筋が見えた……!」

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