閑話 抑止力と古代兵器


目が覚める。真っ暗で、何も見えない。暫く瞬きしてみたり、ギューッと目を瞑ってみたりしても暗いまま。


どうやらここ自体真っ暗な場所らしい。その事に気付くと物凄い怠さ、倦怠感が襲ってくる。体が重く、腕を少しあげるだけで精一杯だ。


この状態で、どうしよも無く途方に暮れていると、気持ち悪さまで襲ってきた。


胸の辺りで何かが渦巻く感じがする。


凄く気持ち悪い、吐きそうだ。


もうダメだ、目覚めたばかりでそう思う。




「おい、おーい、しっかりせい。おーい」


目が覚める。目の前には髭の長い賢者みたいな人が居た。何故だろう、魔法使いという事が理解出来た。きっと、見た目の通り賢者なのだろう。


「あ、あう、うぁ」


声が出ない。どれだけ声を出していなかったのか、どれだけ眠っていたのか。


賢者が不思議そうに首を傾げ、暫くすると合点がいったのか、ポンと手を叩き、何事かを呟いた。


すると自分の周りが淡い、光に包まれる。その光は、澄んだ海の様な水色で、暫くすると声が出るようになる。自分で声が出ることが確認できると目の前にいる賢者にまず此処が何処なのかを聞いた。


「ふむ、最初に聞くのがそれか。うむ、ここは魔法統括会、通称魔法学校じゃな。所で、出来ることならお主の周りの木々はどうにか出来んかね、どうも、教師陣がこわがってしまってな」


周りの木々?言われて見渡すと、自分を中心に大小様々な木々が、龍の形だったり虎の形だったりしてた。


そしてそれらは他の木々と一緒に、渦巻くようにゆっくりと自分の周りを動いていて、魔力を感じた。


何十本と、太い木やそれぞれで絡まりあった、枝木などが、芸術品の様にあり、それが動くとなれば確かに怖いだろう。


何となくこれは自分がやった事なのだろうと、思い、軽く手を振ってみる。


すると、今まであった木々が、霧散していく。


「驚いた。そして、ありがとう」


賢者は目を見開いたが、直ぐに立ち直り感謝の言葉を告げる。


だが、周りが見渡せるとそこらに有るのは悪意だった。


教師陣は杖を構えたまま、警戒をとかない。その中の1人が声を荒らげて、「あ、悪魔だ!殺せ!殺すべきです!校長!」と、喚く。


流石に不愉快に感じソイツを睨みつける。


多少魔力の混ざった視線。その程度のつもりだが、ソイツは視界に捉えた瞬間気絶した。


瞬間、多方面から、色んな魔法が飛んできた。


賢者が、ハッとなり杖を横凪に振る。


全ての魔法が霧散する。


「へー、凄いね」ポツリと漏らす。


「害はない!去れ!」


賢者が威圧を掛けながら言い放つとそそくさと散り散りに去っていく。


「お前さんのことを知りたいのだが……」


「なんも知らん」


「そんな感じはしとった。さて、お主はどうしたい?」


「どうって、どうしようか」


「行くあても無さそうだ、提案なのだか、儂の後継になる気は無いか?」


後継って、なんの事が知らないけど、他に行くあてもないし何も考えず頷いた。

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