第6話 一話は文字数と区切りをどうするか

一話は文字数と区切りをどうするか


 『秋暁の霧、地を治む〜人を殺さなければ戦争は終わらないのだろうか』は、先に十二万字を書き上げてから、一話あたりの文字数を考えながら切り分けて投稿しています。


 そのときに気づいた点を挙げていきます。


 まず一話の文字数について。

 一話はできれば1,500字から4,000字で収めたほうがよいでしょう。

 1,500字はやや短さを感じ、4,000字ではやや長さを感じます。

 しかしあえて短さを出して読み進めやすくしたり、あえて長さを出してじっくり読んでもらいたい。

 そういう意図があれば、1,500字から4,000字までは許容範囲といえます。


 読みやすさと読み応えの両立を図るなら、2,000字から3,500字に収めるべきだと判断しました。



 またできれば「読み手の興味を惹く」ところで一話を切り出してください。

 綺麗に収まるところで切ってしまうと、「続きを読もう」とする意欲が減衰してしまうからです。

 これは連載小説では致命的といえます。


 連載小説は「継続して読んでもらえてナンボ」です。


 満足感を与えると、そこで読みさしてもよいような意識になってしまいます。

 どこまで「次話へ煽れるか」。


 ここまで考えれば、うまい「切れ目」が見つけられるようになります。



 以上は先に原稿を仕上げてから、一話の文字数をコントロールする方法です。

 では、毎日一話ずつ書いていくタイプの連載をしている方は、どうコントロールすればよいのでしょうか。



 実はこれがとても難しいのです。


 文字数をカウントしながら執筆していくのは、ある意味パズルのように楽しくもあれば、ある意味テストの穴埋め問題を解くような労苦も味わいます。


 パズルのように楽しめる方は、物語を頭で展開しながら、字数制限まで文字を書き連ねられます。それが楽しいので、毎日でも続けられるのです。

 続けていてとてもワクワクして楽しめる。

 日々の達成感もひとしおです。

 だからいくらでも表現に工夫ができるのです。


 ですが、穴埋め問題に思えるようなら、あなたは先に原稿を完成させておくべきです。



 人には向き不向きがあります。

 先に原稿を完成させてから物語を切り出していくべきタイプと、頭の中の物語を規定文字数に収めるように毎日パズルを楽しむべきタイプがいるのです。


 私は天才ではないため、先に原稿を仕上げてから、分割してルビを振って投稿しています。

 文字数制限だとそちらに注意がとられてかえって気が散ってしまうのです。


 ですが、規定文字数と戦いながらだと、よりよい表現が生み出せることもありますので、プレッシャーがかからない範囲でなら、パズルを楽しむのも「あり」でしょう。


 私が先に十二万字を書き終えたのも、毎日睡眠導入剤を飲んでから効き始めるまでの三時間前後で一話できれば二話が終わるようにしていました。


 頭が疲れるからか、妙に夢を見て寝起きが悪いのが難点でしたが。



 ちなみに、すでに次作『伝説(仮)』を創り始めています。

 ただ、短編連作でどのエピソードをどの順番で公開しようかとか、いろいろ考えております。

 これが難しいですね。


 各短編で主人公を変えて最後にまとまってメイン主人公を据えるか、そういった前日譚いっさいなしでやるかで迷っています。

 実は『秋暁の霧、地を治む』も三人称の群像劇として書いたものを、急遽一人称視点に切り替えていますので、いろいろ粗が目立ちますね。

 一人称視点にしては描写が淡白だなと。

 どうにも最初の三人称群像劇で見てしまって、帝国サイドの話をまとめてカットしているので話のつじつま合わせにのみ時間がかかった感があります。


 なので『伝説(仮)』ではいくつか既存の短編を組み合わせるだけでなく、どの視点を採用するかを優先して考えることにしました。

 今回のように三人称の群像劇から一人称のヒロイックにするか。

 いろいろ悩んでしまいますね。



 話の切り出しも、できれば最初に方針を決めておくべきですね。

 結局、書き始める前にどれだけ準備が整っているかで作品の成否が決まりそうです。



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