第2話 荒川下流の主(魚の妖怪)

 妖怪・魔物と、一口に言っても色々です。精霊・妖精に含まれる者、自然霊や自然神に含まれる者、(人間等から)成りかけの者、神仏が成り済ました者など色々です。


 つい最近の出来事、サイクリングで荒川放水路の土手を走って対岸へ渡ろうと、橋に差し掛かりました。

『助けて助けて』

 人外の小さな声が聞こえて、何処からと自転車を停めて橋の下を見ると、ルアーの釣り人に釣り上げられた大物の海水魚が1匹。長さ約2メートル、剣のような銀色。

 釣り人は写真撮影で紅白のスケールを横に置いていました。自分の外にも橋の上から見物中の人達がいたので、僕は立ち去りました。

 荒川に逃がして貰えることが分かっていたので。半分妖怪化していましたし、荒川放水路の精霊が呼び寄せた主候補者と、分かっていたので。

 荒川放水路の上流側には別な主(妖怪)がいます。あの魚が下流側の主に成れたのかは微妙なところ。


 信じるか信じないかは、読者次第ですが。

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