孔雀

 ボクたちは良く映画のことを話題にします。

もしかしたら、それはボクの一方的な話題の提供で、本当はキミはあまり興味が無いのかも知れない。


 けれど、今日も映画の話しをしようと思う。


『孔雀』と言う邦題の映画がある。

 浅野忠信が主演している。


 ここから先は、映画の内容が分かってしまうから注意してほしい。


 浅野忠信が演じたのは、なんでも記憶してしまい、記憶に翻弄されて疲れきってしまう青年の役だったはずだ。

 その青年の仕事は、『説明書』などの文章を翻訳して作成することだったと思う。


 いつもの事だけど、その青年と違ってボクの記憶は曖昧なんです。


 現実に浅野忠信が演じた青年の職業があるのかどうか、ボクは知らない。

 映画の中では、海外から輸入された薬品などは、SDSがその国の言葉で書かれているので日本語に訳していく。そんな場面が描かれていたような気がする。


 青年の頭の中に、無数の言葉が詰め込まれていく……


 キミとやり取りをしていたら、なぜだかそんな事を思いだした。


 同じ思い出を、別の言葉で それぞれの記憶にしまってある不思議。


 別々の言葉でしまってあった記憶が、一つの思い出に撚り合う不思議。


 そんな不思議を感じる今夜は夜風が強いようで、森のざわめきがいつもより大きく聞こえています。


 

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