13

町のぼろ小屋 夜中

マリアが登場。

マリアはぼろ小屋の中を恐る恐るうかがう。

ぼろ小屋の中で女(ポーラ)と男がこそついている。


ポーラ「どこにも食料なんて見当たらないけど、本当にここであってるの」

男「んん……この小屋にジャガイモが保管されてるって聞いたんだけどな」

ポーラ「誰から聞いたの。騙されたんじゃない」

男「信頼できる情報筋からだ。きっとあるはずだ。そこの箱は見たか」


男はポーラの近くにある大きな木箱を指す。


ポーラ「これのこと」


ポーラは木箱を開けようとする。

男は懐からナイフと取り出しゆっくりとポーラに忍び寄る。


男「動くな」


ポーラは恐怖で硬直する。


男「少しでも騒いでみろ、殺すからな」


男はポーラを押し倒し、腰のベルトを緩める。

ポーラは恐怖で硬直して抵抗できない。

マリアはポーラを助けるためそばにあった棒きれを手に取り恐る恐るぼろ小屋の中に入る。

男はマリアの気配に気が付きナイフで脅す。


男「誰だ!」

マリア「……らっ……乱暴は……やめて」

男「どうした、震えてるぞ。お前もこの女と一緒に死にたいのか」

マリア「こっ、これいじょう近づかないで……痛い目にあいたくないなら」

男「ははは! 威勢はいいが及び腰だな」


男はマリアに向かってナイフを振り回す。


男「ほら、どうした。かかって来いよ。さっきの威勢はどうした」


男はマリアの隙をついて勢いよく襲いかかる。

マリアと男はバランスを崩して倒れる。男は持っていたナイフで自分の体を刺してしまう。


男「あああああ! 痛い、痛い! くそったれ!」


マリアは慌てて立ち上がり棒きれで男を威嚇する。


マリア「早くここから出て行って! 早く!」

男「あああ……くそ! 覚えてろ! 今度会ったらふたりとも殺すからな!」


男はよろめきながら退場。

マリアは腰を抜かし、震えながらすすり泣く。

ポーラがマリアのもとに駆け寄る。


ポーラ「大丈夫? ありがとう。助けてくれて」


ポーラはマリアを優しく抱きしめなだめる。


ポーラ「怪我はなさそうね。よかった」

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