野鯉 その後

 佐野さんの話は以上で終わりだ。しかしこれには、後日談らしき話がある。


 何年か前にとある池のかいぼりにボランティア参加した、Bさんのお話だ。


 以前からその池はブラックバスやブルーギル、アメリカザリガニなどの外来種が蔓延っていたそうだ。かいぼりは在来生物の保護、外来生物の防除、そして生息している生物の検証を目的としたものだった。


 水を抜く前に、作業着姿のボランティア一同が広場に集められていた。Bさんもその中にいたのだが、ふと、背後誰かに見られている気がした。


 Bさんが振り返ると、そこにはこれから水を抜く池があった。


 ……その水面に、大きな丸い目がぎょろっと光った。


 Bさんは息を吞んだ。あの目玉の持ち主となれば、かなりの体格だ。そんな大物が、この池にいるのか――


 しかし、そんなBさんの予想は大きく裏切られた。水の抜かれた池から、大型の魚類は発見されなかった。

 それどころか……以前に跳梁跋扈していた外来種も、きれいさっぱりいなくなっていた。見つかったのは自転車や空き缶、ペットボトルなどの人工物ばっかりだったそうだ。


 佐野さんの話に出てくると、Bさんの見た。おそらく関係があるのではないか、と私は思っている。


 

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