第28話 蒼い髪のエレイン3

「へぇー、中々お洒落なお店を知ってるんだね……君は結構やり手なのかな? フフ……このプリン美味しい……」



 俺はヴィヴィアンさんと色々とお話をするために、少し落ち着いた感じのカフェに来ていた。ここは以前ベルが疲れた時に来ると言って教えてもらった場所だ。チャンスがあれば彼女に会って、この危機を伝えたいのだが……それはそれとしてヴィヴィアンさんの受けが意外と良いようである。このまま見逃してはくれないだろうか? くれないよな。というかエレインさんは一体俺の事をどう説明したというのだろう。



「それで……どうやって、エレインに冒険者をやめさせて、宿屋で働かせたのかな……? 彼女が……脅迫に屈するとは思わないけど……」

「脅迫なんてしないですって、むしろ彼女の方から働きたいってきたんですよ!!」

「ふふ……嘘をついても……無駄だよ……」



 そういうと彼女の目が爛々と輝く。まるで観察するように彼女は俺を眺めながら再度問う。



「君は私達の可愛いエレインを無理やり働かせて……あれ……? 嘘をついていない……?」

「え、だから嘘をついていないっていってるじゃないですか……」



 俺の表情を見ながら彼女は動揺しているようだ。おそらくこの輝く目がユニークスキルなのだろう。流石の俺も他の街で活躍している冒険者のスキルまで把握はしていない。Aランク冒険者だから情報が出回ってもいいとは思うのだが、彼女のパーティーの二人のSランク冒険者が有名すぎるんだよな。



「でも、あの子が……『聖剣の担い手』をもっているのに……冒険者をやめるとは思えない……あの子は……自分のスキルに責任をもってたから……」

「ああ、それなら俺のスキルで解決したんです。俺のスキルは……」

「『スキルトレーダー』だよね……ああ、そうか……誰かに売ったかショップで買い取ったんだね……」

「はい……そうです。よくわかりましたね。あなたのスキルは『鑑定』ですか?」



 俺の言葉に彼女は無表情でうなづく。『鑑定』とはかなりレアなスキルだ。普通だったら商人になったり、役人などにつくのだが……



「私の鑑定眼はね、人限定なんだ……人のスキルや感情の揺らぎも見えるよ……」

「じゃあ、俺が偽名を使っているのとか、さっきまで焦ってたのは……」

「うん、気づいてたけど……面白そうだったから様子を見てた……でも……今は君が嘘をついていないってのもわかる……ごめん……早とちりをしてた……」



 そう言ってヴィヴィアンさんは俺に頭を下げた。さっきまでの俺の演技は無駄だったのかよぉぉぉ。というか手紙には一体どういう内容が書いてあったんだろうか。



「それで……エレインとはうまくやってるかな……あの子はちょっと抜けたところがあるけどいい子なんだ……泣かせないで欲しい……」

「あんた、幼女と何をやってるのよ……今日は仕事じゃないの? まさか、そんな小さい子に手を出そうとしてるの!? このロリコン!!」



 俺が手紙の内容を聞こうとすると、聞きなれた声が聞こえる。ベルだ。彼女はどこかで買い物をしたついでに寄ったのか荷物を持っている。だが、俺を見ている目が若干引いているのはきのせいだろうか?



「君……ロリコンなの……ガチで引いてる……」

「なんでそうなるんだよ!! 俺はちょっと大人なお姉さんが好きって言ってんだろ!!」

「ベルーこのお肉で大丈夫かな、さっきのお肉の方が高くていいとおもうんだけど? ふふ、みんなよろこんでくれるといいな……え……ヴィヴィアン姉さん!? なんでこんなところに……」

「ちょっと、エレイン?」



 少し遅れてエレインさんもやってきたが、ヴィヴィアンさんを見た途端なぜか動揺してもっていたお肉の入っていた袋を落とす。それをとっさにベルがキャッチした。



「ふふ……君が騙されると思って……恋人のセイン君を見に来た……でも、しっかりと君の事を考えててくれているいいひとだね……」

「「はぁーーーー!!??」」


 ヴィヴィアンさんの言葉に俺とベルの絶叫がこだました。


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