壊陽のジャバラ

未だ戦争の続いた時代。

1987年に起きた第一次人体変異事変から、もう何年経った頃だろうか。世界中の人間が突如として異能の力に目覚め、そうでない者は化物へと変異した大事件。

人類は、突如として人体が化物へと変異する恐怖に怯え、化物を狩る異能の存在を忌避していた暗黒期。

異能者を差別する声を黙らせる方法は、異能者に存在意義を与えることだ。だが、彼らの存在意義など高が知れている。
化物へと変異した人体など、現代の各種兵器で対処可能。それに、正規の軍人という名の武力が必要とされた時代に、平和を謳う武力放棄の憲法など……さっさと破棄されるのに、それほど時間は要らなかった。

異能者は悉く、人体兵器として扱われるか、研究対象として実験動物として扱われるか、どちらかでしかない。

第一次人体変異事…続きを読む