第14話散歩について来るようになる。

14,散歩について来るようになる。


ニャンコは私が夕方出かける時、あるいは夜に帰宅した時を


わかっていて以前のようにお迎えをしてくれる。


これは時折持って帰ってくる魚の土産を待っているのかもしれない。


食べ物商売をしているのでイワシや小肌などの中骨を軽く洗ってから


あぶって持って帰って来る。


いわゆる骨せんべいである。


もちろん、人間も食べられるがモモ子のカルシウム補給の為に

もって帰って来ていた。


ある日、ニャンコにあげてみた。


それに味をしめてか次の日から今まで以上に


足元に絡みつきニャオニャオとなく。


一階から二階に上るときにもトイレやお風呂に入る時も後になり


先になり足で踏みつけないかと心配になるほどまとわりついて離れない。


そしてある日、モモ子の散歩についてくるようになった。


モモ子の後ろからついてきたかと思うと


さっと私の横を通り過ぎて先に走りこんで待っていたりする。


でも、モモ子の方はさほど気にする様子もなく、かといって無視することもなく時折


互いの臭いを嗅いで確かめ合ったりしている。


ニャンコは時折、出始めが遅かったりして歩く速度が追い付かなくなると


走ってくればよいのにニャオニャオ鳴いて待っているようにアピールする。


モモ子の散歩コースには踏切や大通りを渡ることがある。


事故があっては困るので最初のうちはニャンコを抱いて渡っていた。


ニャンコの方は抱き癖がついているのでずーと抱かれたまま散歩しても


嫌がらないで抱かれたままになっている。


でも、これは私にとっては結構な重労働なのである。


左手にモモ子のリードを持ち右手でニャンコを抱えて歩かなくてはいけない。


意外な猫の重さに腕が疲れてくる。


でも、親ばかならぬ飼い主バカで家から少々離れた場所でニャンコを放す


と帰って来られないのではないかと心配になる。


特に線路を渡って散歩に行ったときなどは・・


数日はニャンコの好きにさせてモモ子の散歩について来ても


危険のないコースを歩いたり遠くまで行かないで短めで切り上げたりしていた。


通りがかりの人が立ち止まって見ている。


犬の後を追う猫、私にとっても初めての経験だがほかの人にとってもそうであるらしく


自転車を止めてじっと眺めている人がいる。


「お宅のねこですか」と聞かれる。


「野良だったんですけど今は私の家にいます。」と返事をするとますます


びっくりしてへぇーと声にならない顔でニャンコを眺めていく人がいる。


偶然、ニャンコがモモ子の後をついて歩くという事が


私の手柄のように思ったりするから不思議である。





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