第13話うちの子になる?

13,うちの子になる?


猫に名前を付ける事はまだ何となく抵抗があったので


「ニャンコちゃん」と呼ぶ事にした。


私が仕事に行くため家を空ける時や


寝る時は庭の犬小屋へ入れることにした。


これで桃太郎とモモ子にとっての平和が訪れるだろうし


、ニャンコちゃんの自由恋愛による妊娠を心配して夜間の外出禁止にしたのである。


ニャンコちゃんは嫌がりもせずおとなしく犬小屋に入っていた。


余程、前の飼い主に可愛がられて育ったのだろう。


猫砂の代わりに発泡スチロールの箱に庭の砂を敷き


水と餌を置き、寝床用に暖かい敷物を置いてあげる。


犬小屋に入れた瞬間は外へ出ようとするが


すぐにあきらめて脇の方で丸くなっている。


聞き分けの良い子でもある。


という訳で初めて見た元旦の日から約二か月足らずで


ニャンコちゃんは家の中と犬小屋を往復する生活となった。


自由が一番大好きな猫にとって半分不自由となったこの生活を


喜んでいるだろうかとちょっと疑問に思ったりする。


最近の猫を飼うルールは家の中で飼う事らしいが


このルールは猫の性質を理解しての事だろうか。


猫は犬と違って一つ所に囲われる事を嫌う。


自由にわがままに好き勝手なことをしているというのが


私の猫への理解であった。


そのことを踏まえて今のニャンコちゃんの境遇は幸せであろうかと


私は少々後ろめたい思いもしている。


本来は避妊手術をしてやって自由に散歩が出来るようにする事が


猫にとっては幸せではないだろうか。


でも、外は危険が多い。


まずは交通事故、猫嫌いな人の仕打ちなど。


それらから守るには囲われた場所の中での小さな自由の方が良いのかもしれない。


それにこのニャンコちゃんは年齢がわからないが大人の猫である。


余り大人になってからの避妊手術というものの危険性も考えなくてはならない。


術後家がわからなくなって帰って来なくなったという話も聞く。


もっと現実味のあるものは体にメスを入れるという事への抵抗感。


諸々の気持ちと経済的な問題でいま、猫は家の中の半分だけ自由な生活と


外の犬小屋の狭い空間での不自由な生活の中にいる。


でも、ニャンコちゃんはこの生活を嫌っている訳でもなさそうである。


なぜなら外の犬小屋から家の中に入るときは自由に歩いているので


嫌なら他に逃げ出すことも出来るのに


トコトコとついて来てドアを開けてやると先に中へ入っていく。


ニャンコちゃんにとっては毎日の日課になっているようだ。


日中の暖かい日には外に出してやるとそのまま家の中に入らない事がある。


だが、近所の二、三軒先に遊びに行く程度でそう遠くにはいかないようだ。






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