第11話 反撃

「悪いモノは悪いんだよ! このクーデター野郎!」


 鳴り響く銃声と共に、弾痕で穴だらけになった日本間のフスマがなぎ倒され、

数人の黒尽くめ達が倒れ込む。そこには拷問を受け、傷だらけで半裸になったキラがH&K G36Cを手に構えている。


「キラ!!」


「奈々、遅くなってゴメン。 ちょっとこいつらと遊んでたの」


「その傷、大丈夫なの?」


「あぁら? ちょっぴりセクシー過ぎた?」


 奈々と松羽目にウィンクするキラ。それに激怒する松羽目が叫ぶ。

 

「おのれ裏切り者っ! ジェイド! ジェイドはどうした!?」


ジェイドが現れ、


「はっ、閣下!!」


「ジェイド!何をしている? 早く敵を始末しろ!!」


「御意!! 総員、あの赤革ツナギのオンナを排除しろ!!」


「ダダダッ! ダダダダダッ! ダダッ!」


 続々とキラに発砲して来るジェイドの部下達。


「ドンドンッ! ドドドンッ!」


 キラはとっさに私をかばい、腰のベルトから南部18C式を抜いて応戦しながら、

日本庭園の大きな御影石の影に隠れて、


「奈々! あなたも手伝って、ほら!!」

 

 キラは私に、敵から奪ったH&K MP5Kを渡そうとする。


「え? 私が・・・?」


 てゆーか、私はそんな危ないモノ、生理的に受け付けないし・・・。


「奈々! なにやってんのよ!」


「だって! 殺したく無い!!」


「ンな事言ってる場合!? しょうが無いわねッ!!」


 キラは化粧用の小型の鏡をポケットから取出すと、御影石の影から向こうを覗き見て敵の人数と位置を確認する。


「右に3人、左に2人。 よっしゃぁ! 3秒で片付けてやる!」


 キラは自らのH&K G36Cを数発、当てずっぽうに発射して敵の無駄ダマを誘い、敵が弾薬を浪費して、空のマガジンチェンジのタイミングを見計らうと・・・、キラは素早く御影石の影から飛び出し、敵が照準しにくい様に最大限に腰を屈めて前進しながら、H&K G36Cを右から左に方向に構えてバースト射撃し、SS-109弾の反動を水平方向に利用しなが右手の敵3人をダウンさせる。左の敵2人がキラの応戦に気が付いた時には、キラの姿は既にそこには無く、キラは地面に同化するかのごとく草むらに伏せて、2人の敵の急所をスナイピングし、倒す。


 手下を次々と倒され、


「チッ!!」


 と舌打ちして、その場を去る松羽目。


「奈々! ヤバイ! 松羽目は隣国に向けて、新開発のミサイルを発射する気よ!

そうなったらもう、誰にも戦争は止められない!」


 『戦争』ですって!? 

 

 私、そんな事聞いてないよ!って、ちょっとパニくりながら、 


「ど、どうすれば良いのよっ?」


「この建物の地下に、ミサイルの制御装置があるわ。 それさえ破壊出来れば!」


「分かった。制御装置ね?」


 正直言って、全く分かって無かったけど、取り合えず分かったフリして松羽目を追おうとする私に、

 

「待って! これを!!」


 キラが私にH&K G36Cアサルトライフルを投げてよこす。ぶっちゃけ、こんな鉄クズは邪魔なだけなのよね、って思った私は、


「こんなモノ・・・、要らない!!」


 って、放り投げ返したら、キラは、呆れ返って、


「もう・・・! 勝手にして!!」



 私は、これまでの自分の未知の能力変化の様子から、もう一人の「ワタシ」による戦闘能力だけで、武装した敵を無力化出来ると判断、丸腰で地下室へ向かう決意をした・・・。

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