繰り返し

 帰宅は毎日午前様だが、仕事が楽しくて仕方がない。

 土日祝日も関係なく働いている。


 一人暮らしのマンションには寝に帰るだけ。

 玄関のドアを開け、暗闇の中を寝室へ向かい、そのままベッドに倒れ込む。

 その繰り返しの日々。


 だが、ある時、玄関のドアを開けながら気がついた。

 ドアを開けるまでの、一日の記憶がない。


 どういうことだと思いながらも、体は勝手に動き出し、ベッドに倒れ込んだ。

 そして、意識を失った。


 目が覚めると、玄関のドアを開けていた。

 そして、また、体は勝手に寝室へ向かい……。



 その繰り返しの果てにドアを開けると、いつもとちがい、部屋が明るかった。


 リビングに入ると、お坊さんがお経をあげていた。

 だんだんと意識が溶けていくなか、ようやく、この繰り返しから解放されるのだろうと思った。

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