第7話 仲間

爆風で吹き飛ばされた木々を背にし、巨人と騎士が対峙していた。


「一角獣の角(ユニコーンホーン)」 ズドン! 「ぐほあっ」

ダイナが構えた瞬間、ニコルの槍が突き刺さる。


「急所を一突きするとは…やるっス…ね。でも…ここで犬死するわけにはいかないっス。てめえも道連れっス。」 コヲヲ…

頭部の水晶玉がオレンジに染まっていく


(自爆する気だ。爆発する前に倒せばいけるが間に合うか…) ダッ


「停止してください」ガシッ


僕はリアに手を掴まれその場に倒れこんだ。

「リア、なぜ僕を止めた」


「まもなく、対象に向け飛翔体が着弾します。あなたは退避してください」


「何も飛んでくる気配はないが、本当なのか?」

半信半疑で彼女に問う。


「もう来ます。着弾まで5秒、4秒、3秒…」


水晶玉が太陽のように輝きを放つ

「足掻いても無駄っスよ。もう終わりっス」


「終わり?」

「終わるのは君だけだよ。」

ニコルは笑った。


ヒュン…

彼方の空から一筋の光が飛来した。


「なんスかあれ」

スダァアン!

その光は太陽を貫いた。

ドーン!

体から離れたそれは空に打ち上がり、花火のように破裂した。


「いい花火。君でもこんなに綺麗にさけるんだね」ズシャ

ニコルは彼の身体を槍で押し、地面に突き刺した。


「か、勝った」 ホッ

僕は胸をなで下ろした。しかしあの光は何だったのだろうか?


「何かが接近してきます。敵生体では無いようです。」

リアが再び何かを感知した。


ガラガラガラガラ…

現れたのは悪魔の襲撃を受ける直前まで乗車していた馬車であった。


ただ、先ほどとは違い屋根の上に人が乗っている。


「ニコル殿、ご無事で何よりです。」

まず口を開いたのは行者の男


「やあガルト。いい援護だったよ。」


「ありがとうございます。」

彼はニコルに向け一礼した。


「おいおい、とどめは俺が指したんだぜ。」

今度は屋根の男が話に割り込んできた。


「だからどうしたって?」


「俺が一番讃えられるべきじゃないか」

男は銀髪をなびかせ、にやついた。

「ふごぉ」ボゴーン


ニコルの拳で男は吹っ飛んだ。


「人というのはね、1人では何もできないんだよ。でもね、仲間が集まればなんでも叶える事ができるんだ。それだけは忘れないでほしい。」


言ってる事は理解できるが、


「ふごっ…ふごっ…」ピクッ


話が聞けなくなるような力で殴るのはどうかと思う。あのリアでさえも少し引いている。


「レインさん!大丈夫ですか!」

外の騒ぎを聞きつけたのか、馬車から女性が出てきた。

「回復しますね」ポウッ…

レインの傷が治っていく。


「うう…すまないな」

レインは罰が悪そうに頭を下げた。


「いいんですよ!怪我人を癒すのが私の使命ですから!」

(ふふっ…こうしてアピールすればニコルちゃんも振り向いてくれる…はず)

彼女は満面の笑みを浮かべている。


それにしても彼らは何者なのだろうか?

僕は思い切って聞いてみる事にした。


「割り入って済まないが、聞きたいことがある。あなたたちは何者なんだ?」


「彼らはブルグロンド騎士団の一員だ。」

ニコルが口を開いた。

「そういえばちゃんとした自己紹介がまだだったね。私は連合軍ブルグロンド支部特2番隊隊長 ニコル・モノローズだ。」


「連合軍の隊長………何だって!」

僕は驚きを隠せなかった。

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フェニックス・ライズ 榊 せいろ @seilo2

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