第22話
蝉がシャワシャワと鳴き荒ぶ季節。
僕達のいる体育館には校長の終業式の締め括りの言葉が響き渡る。
明日から長い夏休みだ。
終業式終わりから教室に戻る為にごった返した人混み中夏休みでテンションが上がり暑苦しい雑踏の中を切り拓いてやっと教室に辿り着く。
後はもう帰るだけだとゆうのに教室でも皆明日から何するかだの盛り上がっている。
「おう辰巳!夏休み何するよ!いや〜楽しみだなぁ!」
ここにも熱いやつが1人。
「楽しみだよね!バーベキューしたぁい!」
こっちにもか。
「皆気が早いわね。宿題もあるのをわすれないでよね」
おや、鈴宮さん。スカした事言ってますがウキウキ感が隠せてませんよ?
「鷹宮君はもう何か予定立ててたりするの?」
「辰巳は暇でしょ」
…普段が暇なだけに否定できない。だが今回はちょっと違う。
「残念ながら今回は少しだけ予定があるんだ」
「「「!?」」」
そんな驚く事ある?僕はどんだけ暇だと思われてるんだ。
「辰巳に予定があるなんて…旅行とか?」
「旅行…まぁ、旅行といえば旅行かな。ボランティアで小学生の宿泊研修のサポートで少年自然の家にいくんだ」
「ボランティアはいい事だが辰巳が自主的にそんな事するとは思えねーなぁ。」
司が訝しそうな目で見てくる。間違っては無いけど言うようになってきたじゃないかコイツ。これも友達として仲が深まってきたということか。
「確かにねぇ。なんかウラ事情があったりするの?鷹宮君」
葵さんがニマニマした顔で下から覗き込むように見上げてくる。
「ちょっと、な」
「なによ。さっさと白状しなさい。」
鈴宮が詰め寄ってくる。余り言いたく無いんだがどうせ後でさらに問い詰められるだろうしなぁ。
「実は右京と一緒に遊んでて蛍光灯を割って天羽先生が手入れしていた花壇を2人でグシャってしてしまったんだ。それで反省文とか見逃す替わりに今回の宿泊研修に右京と2人仲良く参加する事になったんだ。まぁ、夏休み入ってすぐだからそれさえ終われば大半は暇に変わりないが」
天羽先生が宿泊研修の付き添いだしなぁ。タイミング悪く問題を起こして体良く人手として確保されてしまった。
「あんた何やってんのよ…」
呆れられてしまった。
「辰巳は右京と2人揃うと色々やらかすなぁ」
「鷹宮君頑張ってねぇ。終わったら皆で遊びに行こうね」
切り捨てられた。葵さん切り離し早いよね。まぁ、相手は小学生だし何とかなるでしょ。気楽に行こう。
「よーし!明日からの夏休みに備えて早く帰ろー!」
葵さんの掛け声で僕達も帰る。予め持ち帰ったり焼却処分したから荷物が軽い。夏休み、何をしようか。また何かしらの免許や資格でも取ろうかなぁ。
いろいろと悩むがとりあえず帰ろう。
あの後司と葵さんと別れて鈴宮と2人で並んで帰った。最近は鈴宮と2人きりで帰る事が当たり前すぎて何も感じなくなってしまったな。
鈴宮家の今日の晩ご飯は肉じゃがでした。なんというかとてもホッとする味で大変ごちそうさまでした。
香澄ちゃんに〝夏休みはいっぱい遊べるね!〟と言われたのでとりあえずは鈴宮家に通うことが多くなりそうだ。
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