39.重なる偶然
今日も一人で帰りますか。この前もこうだった気がする。
放課後の駅までの道、アイスを買いにスーパーへ。売り場を眺め、決めたのは二つに分けることが出来る飲むタイプのアイスだ。外に出て早速開けちゃう。お行儀悪いと言われてしまうが、歩きながらいただくとしよう。
飲みながら駅近くまで来た。そこに一人誰かを待っているかのように立って辺りを気にしている人がいた。絹のような光沢のある白い髪に水色の瞳をしている。儚げな雰囲気の美しいというような言葉が似合う男の子だった。なんだか前にも似たような子を見たような気がする。
その子は私を見ると駆け寄ってきた。
「お姉さん、道聞いていいですか?」
この間も道聞かれたなぁ。
「はい、いいですよ」
「高校に行きたいんですけど」
また学校か!
あっちでこっちでーと説明。
「なるほど、ありがとうございます。これで兄に会いに行けます」
にこにことしていて、パッと見た雰囲気とはイメージが違うなぁ。
「そうですか、良かったです」
つられて私もにこにこしてしまうなぁ。
ぐぅ、とお腹の鳴る音。私ではない。
「あ、これ食べます?」
少し溶けているアイスの片割れを差し出す。
「嬉しいです、いただきます。お姉さんと半分こ」
この子は私にだから話しかけた、私とだから嬉しいといったような感じで話す。懐かれているように思えた。でも初対面なんだよね。距離感が近いだけかな。
「それでは、学校行ってきます。ありがとうございました」
「いってらっしゃい、気を付けて」
「またね、お姉さん」
笑顔で手を振って歩いて行った。またね、か。まぁ会えはしないだろうけど、会えたら嬉しいかな。随分人懐っこい子だったなぁ。弟がいたらこんな感じ? いや、私の弟はきっとこんなに愛想は良くないだろうな。いない人を考えても分からないけどきっとそう。お兄さんに会いに行くと言っていた。お兄さんも綺麗な白い髪なんだろうなぁ。
さぁ帰るかぁ。
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